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ブナの葉緑体全ゲノム配列を決定!

2019年9月18日掲載

論文名

The complete chloroplast genome of Fagus crenata (subgenus Fagus) and comparison with F. engleriana (subgenus Engleriana)(ブナ(ブナ亜属)の全葉緑体ゲノムとシナブナ(イヌブナ亜属)との比較)

著者(所属)

Worth James Raymond Peter(樹木分子遺伝研究領域)、Liu Luxian.(河南大学)、Wei Fu-Jin(森林総合研究所PD)、Tomaru Nobuhiro(名古屋大学)

掲載誌

PeerJ 7:e7026 DOI:10.7717/peerj.7026(外部サイトへリンク)

内容紹介

ブナ属の樹木は北半球の温帯林を構成する種です(図1)。日本には、イヌブナとブナの2種が生育していますが、これらは異なる亜属に属しています。イヌブナ亜属は、東アジアに分布する種からなる一方で、もう一つのブナ亜属は、アジア、北米、またはヨーロッパに分布する種から構成されます。これらブナ属樹木の遺伝的多様性やその成立の過程を調べるためには葉緑体にあるゲノムDNAの塩基配列を明らかにすることが重要です。そこで、ブナの葉緑体の全ゲノム塩基配列を決定しました。

ブナの葉緑体ゲノムは全長158,227塩基対で、合計111の遺伝子がありました。そのうち76はタンパク質合成に関わる遺伝子で、35はRNA発現に関わる遺伝子でした(図2a)。これらの結果をもとに、ブナの’全葉緑体ゲノムの地図‘を作成しました。さらに、ブナには、塩基配列の変化が起きやすい6つの領域(図2b,c)と、160個のマイクロサテライト(ゲノム上に存在する反復配列。数塩基単位で繰り返す配列からなり、個体識別などに利用される)があることがわかりました。

これらは今後ブナやその近縁種の遺伝的な構造や多様性を調べていく上で、大変有効なツールとなります。

(本研究は2019年6月7日にPeerJ誌にオンライン公表されました。)

 

図1-a:ブナの成木 図1b:ブナの堅果

図1:ブナの成木と堅果。ブナは日本の温帯林での主要な樹種です。


図2:(a)ブナの全葉緑体ゲノムの地図。(b)全葉緑体ゲノム解析に基づいた系統関係

図2:(a)ブナの全葉緑体ゲノムの地図。葉緑体は環状のDNAで、色付きのボックスは各遺伝子のある領域を示します。同じ色の遺伝子は、似たような働きをしています。
(b)全葉緑体ゲノム解析に基づいた系統関係。ブナ属内の種の違いは、コナラ属内の種の違いに比べて小さいことがわかりました。(c)ブナとシナブナのDNA領域ごとのヌクレオチド多様性の比較。赤で示すのは多様性が高い6つの領域です。

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【研究担当者】
森林総合研究所 樹木分子遺伝研究領域 ワース ジェームズ レーモンド ピーター
【広報担当者】
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