ホーム > 研究紹介 > 研究成果 > 研究成果 2019年紹介分 > 花が咲き始めた樹木は背丈の伸びが緩やかになる

ここから本文です。

花が咲き始めた樹木は背丈の伸びが緩やかになる

2019年10月2日掲載

論文名

When and why do trees begin to decrease their resource allocation to apical growth? The importance of the reproductive onset(いつ、なぜ樹木の樹高成長は低下し始めるのか?~繁殖開始のもつ意味~)

著者(所属)

鈴木 牧(東京大学)、梅木 清(千葉大学)、Olga Orman(京都大学、University of Agriculture in Kraków)、柴田 銃江(森林植生研究領域)、田中 浩(森林総合研究所元研究担当理事)、飯田 滋生(九州支所)、中静 透(東北大学)、正木 隆(企画部)

掲載誌

Oecologia、191(1):39–49、September 2019 DOI:10.1007/s00442-019-04477-y(外部サイトへリンク)

内容紹介

樹木は小さいうちは直径と樹高がともに増え続けますが、ある段階以降、樹高の伸びが緩やかになります。この原因として、高い枝葉への水の吸い上げ困難説、大きくなった体を支えるための樹形変化説などが示されてきましたが、説明としては不十分でした。私たちは、樹木は開花・結実を始めるとともに樹高成長が緩やかになるのではないか?と考え、13種400本の直径と樹高を測定し、さらに樹木が一定量以上の開花・結実を行なうようになる樹高を樹種ごとに調べました。

その結果、ほとんどの樹種で、直径がある太さを超えると樹高の伸びが緩やかになる転換点が存在することを見出しました。そして安定して開花・結実が始まる樹高は転換点とほぼ一致していました。多くの樹種では転換点が林冠層に位置していたことから、樹木は梢端が林冠層に達して環境の変化に出会うと生き方を変えて開花・結実にエネルギーを費やすようになり、その一方で樹高の伸びにはエネルギーを使わなくなると考えられます。例外的にハクウンボクやウリハダカエデのような小高木性の樹種は、低木層や亜高木層に転換点がありました。これらは、将来に期待せず小さいうちから開花・結実を始める生き方と言えます。

本研究は、樹高の伸びが緩やかになることに開花・結実が関わっていることを、世界で初めて具体的なデータで示すことができました。この研究成果は、多樹種からなる階層構造の発達した森づくりをデザインするために役立つ情報となります。

(本研究は2019年8月1日にOecologia誌にオンライン公表されました。

 

この図は胸高直径と樹高の関係を示しています

この図は胸高直径と樹高の関係を示しています。赤い線は、各樹種が一定量以上の開花・結実をおこなっていることを表しています。ほとんどの樹種には、胸高直径がある値を超えると樹高の伸びが緩やかになる転換点がありました。左2枚は、樹高が林冠層に到達するとほぼ同時に転換点を迎える高木・亜高木種、右1枚は林冠層に到達する前に転換点がある小高木種の例を示しています。

お問い合わせ先

【研究推進責任者】
森林総合研究所 研究ディレクター 宇都木 玄
【研究担当者】
森林総合研究所 企画部 正木 隆
【広報担当者】
森林総合研究所 広報普及科広報係
【取材等のお問い合わせ】
相談窓口(Q&A)E-mail:QandA@ffpri.affrc.go.jp
電話番号:029-829-8377(受付時間:平日9時30分~12時、13時~16時30分)

お問い合わせ

所属課室:企画部広報普及科

〒305-8687 茨城県つくば市松の里1

電話番号:029-829-8377

FAX番号:029-873-0844