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森の香りを貯め込むアラスカのクロトウヒ林土壌

2019年10月23日掲載

論文名

Spatiotemporal variations of below-ground monoterpene concentrations in an upland black spruce stand in interior Alaska (アラスカ内陸部クロトウヒ林土壌におけるモノテルペン濃度の時空間変動)

著者(所属)

森下 智陽(東北支所)、深山 貴文(森林防災研究領域)、野口 享太郎(東北支所)、松浦 陽次郎(国際連携・気候変動研究拠点)、Kim Yongwon(アラスカ大学)

掲載誌

Polar Science, 21, 158-164, Elsevier,October 2019 DOI:10.1016/j.polar.2019.02.002(外部サイトへリンク)

内容紹介

森の香りはフィトンチッドとも呼ばれ、人に対してリラックス効果をもたらしたり、微生物に対して殺菌作用を示したりするものがあります。一方で、森の香り物質は大気中のオゾンの生成にも関わっていたり、地球温暖化を助長したりする可能性も指摘されています。このような森の香りは、樹木の葉や幹など地上部から放出されることがわかっていましたが、土壌を含めた地下部に森の香り物質がどれくらい存在するかほとんどわかっていませんでした。なかでも北米の亜寒帯林に広く分布し、温暖化の影響を受けやすいと考えられるクロトウヒ林については、森の香りに関する情報はほとんどありませんでした。

そこで本研究では、アラスカ内陸部のクロトウヒ林において、林内と土壌中の大気に含まれる森の香り物質の濃度を、春から秋にかけて観測しました。その結果、森の香りの濃度は、林内よりも土壌中で数百倍高く、10~30cmと厚く堆積した有機物層中で高いことを明らかにしました。また、主な森の香り物質は、スギ等にも多く含まれるα-ピネン注)であることもわかりました。有機物層は、林床のコケ・地衣類、クロトウヒの落葉や細根で構成され、これらが地下部で森の香り物質を貯め込んでいるのです。

森の香り物質は、土壌から大気へ放出していると考えられます。地球温暖化に関与する物質でもあることから、放出量を明らかにすることで、森林生態系が地球温暖化へおよぼす影響を、より正確に評価できることが期待されます。

注)α-ピネン:ホームページ内の研究成果2017年紹介分「木材由来のにおい成分α-ピネンは人をリラックスさせる」、自然探訪2018年4月「森香る春」をご参照ください。

(本研究は2019年10月にPolar Science誌に公表されました。)

 

図:有機物層の断面の様子

図:さまざまなコケ・地衣類に覆われたアラスカ内陸部クロトウヒ林試験地の(A)林床の様子と(B)コケ・地衣類、落葉などが厚く堆積した有機物層の断面の様子。森の香り物質は、このような有機物層内に特に貯まっている。

お問い合わせ先

【研究推進責任者】
森林総合研究所 研究ディレクター平田 泰雅
【研究担当者】
森林総合研究所 東北支所 森林環境研究グループ 森下 智陽
【広報担当者】
森林総合研究所 広報普及科広報係
【取材等のお問い合わせ】
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