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3種類のシカ柵を通る動物、通らぬ動物、そして壊す動物

2019年11月5日掲載

論文名

(1) 都市近郊林におけるシカ・イノシシ侵入防止柵の設置効果と維持管理作業の1事例

(2) シカ防護柵の設置が各種哺乳類の移動に与える影響

著者(所属)

(1) 田村 典子(多摩森林科学園)、竹下 実生・高山 夏鈴(東京農業大学)、岡 輝樹(野生動物研究領域)、小泉 透(多摩森林科学園)

(2) 高山 夏鈴・竹下 実生(東京農業大学)、田村 典子・小泉 透(多摩森林科学園)、山崎 晃司(東京農業大学)

掲載誌

(1) 森林防疫、67(5):3-11、全国森林病虫獣害防除協会、2018年9月

(2) 森林防疫、68(5):3-10、全国森林病虫獣害防除協会、2019年9月

内容紹介

ニホンジカによる森林被害が各地で問題になっています。シカの食害から造林地などを保護するために、シカ侵入防止柵(シカ柵)が設置されていますが、破損が激しいために効果を発揮していない現場も少なくありません。森林内にはシカ以外にも多くの野生動物が生息しており、これらの動物による柵の破損も起こるはずです。またシカ柵は、キツネ、ノウサギ、アナグマなど地域のレッドリストに選定されている種の移動も制限する可能性があります。そこで、東京都西部に位置する多摩森林科学園の山林で3種類の柵(電気柵、金属柵、樹脂ネット柵)を総延長約2.2kmに渡り設置し、柵に沿ってセンサーカメラを22台設置することにより、動物の行動をモニタリングしました。電気柵は、シカ、イノシシ、サルの移動を防ぎましたが、キツネ、アナグマなどは電線に触れずに移動できており、保護すべき動物への影響が少ない柵と言えそうです。金属柵(網目の大きさ5cmx7cm)はネズミ類など小型の種以外は移動できませんでしたが、地面とすき間がある扉の下側をアナグマが掘り下げ、そこがイノシシ成獣とシカ以外の動物の通り道になりました。樹脂ネット柵は設置当初から頻繁にイノシシによって破られ、その穴がシカ以外の動物の移動路となりました。今回の結果から電気柵は動物による破損と、保護すべき動物への影響がともに最も少なく、金属柵は破損頻度が低い一方で保護すべき動物の移動は制限され、樹脂ネット柵については破損が著しく頻繁におこることが分かりました。実際にシカ柵を設置する際は地域の動物相を知り、それに合わせた柵の選定と維持・管理が必要です。

(本研究は2018年9月及び2019年9月に森林防疫誌に公表されました。)

 

写真1:金属柵の扉下の隙間をすり抜けるアナグマ

写真1:金属柵の扉下の隙間をすり抜けるアナグマ。

 

写真2:樹脂ネット柵を破ってすすむイノシシ

写真2:樹脂ネット柵を破ってすすむイノシシ

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【研究担当者】
森林総合研究所 多摩森林科学園 田村(林) 典子
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