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タイ全土に適用できるチーク林のバイオマス推定式を開発した

2019年12月6日掲載

論文名

General estimation models for above- and below-ground biomass of teak (Tectona grandis) plantations in Thailand(タイチーク林の地上部と地下部バイオマス推定のための一般式)

著者(所属)

田中 憲蔵(植物生態研究領域)、Woraphun Himmapan(タイ王室林野局)、米田 令仁(四国支所)、Narin Tedsorn(タイ王室林野局)、Tosporn Vacharangkura(タイ王室林野局)、櫃間 岳(国際農林水産業研究センター)、野田 巌(国際連携・気候変動研究拠点)

掲載誌

Forest Ecology and Management、Elsevier DOI:10.1016/j.foreco.2019.117701(外部サイトへリンク)

内容紹介

チークはタイやミャンマーなどに生育する熱帯アジア原産の樹木ですが、材質に優れ、成長も早いためアジアだけでなく中南米やアフリカ熱帯でも広く植林されています。木材資源として重要なチークですが、植林地には炭素の吸収源としての働きもあります。この働きを評価するためには、森林に生育している樹木のバイオマス(重量)の推定が必要です。タイには世界有数のチーク林がありますが、地上部のバイオマスの推定式は限られた地域でしか作られておらず、さらに、地下部のバイオマスについては推定式を作るためのデータがほぼ無い状態でした。この研究では、タイ全土の18カ所でチークの伐採や掘り取りを行い、幹や枝葉、根の重さと直径や樹高との関係を調べ、バイオマスの推定式を開発しました。興味深いことに、地上部と地下部のバイオマス推定式は地域間の差がほとんどなく、1つの共通式で推定できることが分かりました。また、林齢と地上部のバイオマスから地下部のバイオマスを推定できることも分かりました。これらの推定式を用いることで、タイ全土のチーク林のバイオマス推定精度が向上し、植林地の炭素蓄積量の正確な評価が可能になります。

(本研究は2019年11月にForest Ecology and Management誌にオンライン公開されました。)

 

写真:総チーク作りのウィマンメーク宮殿、幹の重量測定と根の掘り取りの様子

写真:総チーク作りのウィマンメーク宮殿(左)、幹の重量測定(右上)と根の掘り取りの様子(右下)
チークは高級家具材や建築材として利用されてきました。かつては船の甲板材としての需要も高く、タイタニック号の甲板もチーク製でした。タイで1902年に建てられたウィマンメーク宮殿は世界最大のチークの建築物です。本研究では様々なサイズのチークを伐り倒し、葉と幹や枝に分けて重量を測りました。また根についても重機や人力で掘り起こし、根を丁寧に集めて重さを調べました。

図:チークの幹の直径と地上部と地下部のバイオマスの関係

図:チークの幹の直径と地上部(左図)と地下部(右図)のバイオマスの関係
1つの共通式でタイ国内の様々な地域のチーク林のバイオマスを推定できることが分かりました。

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【研究担当者】
森林総合研究所 植物生態研究領域 田中 憲蔵
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