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ウルシ林衰退の原因となる樹木疫病菌を発見

2020年1月8日掲載

論文名

Phytophthora cinnamomiによるウルシ林の衰退 ―国産漆の新たなる脅威―

著者(所属)

升屋 勇人(きのこ・森林微生物研究領域)、田端 雅進(東北支所)、市原 優(関西支所)、景山 幸二(岐阜大学流域圏科学研究センター)

掲載誌

日本森林学会誌、101巻6号、318-321、日本森林学会、2019年12月

内容紹介

国産漆の需要拡大とともに国産漆増産の機運が高まる中、これまでに全国各地でウルシの植林が行われてきました。しかし、漆液の収穫にこぎつけている地域は多くはありません。そこにはウルシの育成時におけるなんらかの阻害要因が存在すると考えられました。そこで、全国の衰退傾向が著しいウルシ植林地において、育成の阻害要因となる樹木病害の調査を行ったところ、北海道や岩手県を除く衰退林のほとんど全てで、土壌から植物疫病菌の1種、Phytophthora cinnamomiが検出されました。本菌は世界的にも有名な樹木病原菌で、各国の森林の衰退に大きく関与している重要病原菌の一つです。ウルシ苗木の育成土壌に本菌を混和したところ、菌を入れていない土壌で育成した場合と比較して、明らかな衰退枯死が見られました。本病害にはこれまで病名がついていなかったため、新病害「ウルシ疫病」とすることを提案しました。

この結果は、ウルシを植林する際、樹木疫病菌が大きな阻害要因となる可能性があることを示しており、今後防除対策の構築が急務です。

(本研究は2019年12月に日本森林学会誌に公表されました。)

 

写真:ウルシ植林地で検出されたPhytophthora cinnamomi

写真:ウルシ植林地で検出されたPhytophthora cinnamomi(a. 遊走子嚢 (スケールバー:20µm)、b. 造卵器(スケールバー:30µm)、c. 厚膜胞子(スケールバー:200µm)、d. コロニーの様相(左:PDA(ポテトデキストロース寒天)培地、右:CA(ニンジンエキス寒天)培地))、e. ウルシ苗木の育成土壌にPhytophthora cinnamomiを混和した結果(左列が対照区、右列が混和区、混和3か月後に苗木が衰退枯死した)

お問い合わせ先

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森林総合研究所 研究ディレクター 尾崎 研一
【研究担当者】
森林総合研究所 きのこ・森林微生物研究領域 升屋 勇人
【広報担当者】
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