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熱帯の森林減少の解決には貧困対策が有効である

2020年1月17日掲載

論文名

Poverty reduction saves forests sustainably: lessons for deforestation policies (貧困削減が森林を持続的に保全する:森林減少政策への示唆)

著者(所属)

宮本 基杖(林業経営・政策研究領域)

掲載誌

World Development、127、Elsevier、March 2020 DOI:10.1016/j.worlddev.2019.104746(外部サイトへリンク)

内容紹介

国連の「持続可能な開発目標(SDGs)」の達成に資するだけでなく、気候変動緩和策としても重要であることから、熱帯林減少を解決するための取組が積極的に実施されています。しかし、これらの取組に対して、コストが高い、効果が低い、持続性に乏しい、地域経済に負の影響があるなどの懸念も指摘されています。これは、森林減少の根本的な原因が特定されておらず、有効な対策が選択できていないためです。このため、森林減少の発生メカニズムを解明し、有効な解決策を明らかにすることが課題となっていました。

今回、1990~2014年に実施した森林減少に関する実証研究(世界の多国間データ分析、マレーシア調査、インドネシア調査)の結果を統合して、森林減少の発生の仕組みを分析した結果、高い農業地代(農業の土地収益性)が森林減少を加速する主な直接原因であることを確認するとともに、(1)貧困に関する変数が森林面積の変化に強い影響を与えており、貧困が森林減少の主な根本原因であること、(2)貧困率が大幅に軽減されると、農業地代が高くても森林減少が抑制されることを明らかにしました。さらに、熱帯林減少の発生と制御の仕組みについて、貧困・農業地代・森林率が主な条件であることを明らかにし、森林減少の解決には貧困削減が有効かつ持続的な対策であることを明らかにしました。

本研究で得られた知見は、熱帯の森林減少を抑制するための有効な対策の立案に貢献するものです。

(本研究は2019年11月19日にWorld Development誌にオンライン公表されました。)

 

写真1-1:油ヤシ園 写真1-2:ゴム園

写真1:森林減少の主な直接原因は、輸出作物を生産するための油ヤシ園、ゴム園、大豆畑、牧場などへの転換であり、農業地代(農業の土地収益性)の上昇であることが分かっています。ただし、農業地代を低下させる対策は、地域の経済に負の影響を与える可能性があり、一時的な森林減少対策に終わりかねません。(左:油ヤシ園、右:ゴム園)

 

図1:森林減少の発生メカニズム

図1:森林減少の発生 メカニズム

 図2:森林減少の制御メカニズム

図2:森林減少の制御メカニズム

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【研究担当者】
森林総合研究所 林業経営・政策研究領域 宮本 基杖
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