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ミャンマーの森林減少は経済発展や人口増加とともにさらに加速する

2020年2月14日掲載

論文名

Forecasting forest areas in Myanmar based on socioeconomic factors (ミャンマーにおける森林面積の予測 ー社会経済要因を用いてー)

著者(所属)

道中 哲也(東北支所)、Ei Ei Swe Hlaing、Thaung Naing Oo(ミャンマー森林研究所)、Myat Su Mon(ミャンマー森林局)、佐藤 保(森林植生研究領域)

掲載誌

Forests、11(1)、100、MDPI、January 2020 DOI:10.3390/f11010100(外部サイトへリンク)

内容紹介

ミャンマーは、ブラジルとインドネシアに次いで年間の森林面積減少量が世界三位で、2000年代末から民主化が進むにつれて、森林の減少が顕著に進んでいます。途上国の森林減少と劣化の抑制により温室ガス排出を減少するための国際的メカニズム―REDD+を実施するために、ミャンマー政府は2005年から2015年までの森林減少面積の平均値をベースラインとした実際の抑制効果を測るための基準となる森林参照レベル(FRL)を提出しました。しかし、このFRLの算出には、社会経済発展の影響が考慮されていませんでした。

本研究では、ミャンマーにおける森林面積の減少の背後には、農地転用や土地開発などの直接的な要因の代わりに人口増加と経済発展の影響があると考えて、2005年から2015年までの森林面積、人口、国内総生産(GDP)などのデータをもとに計量経済学的モデルを用いて分析しました。さらに、近い将来の社会経済発展の状況も考えて、2016年から2020年まで毎年の森林面積を予測しました。その結果、経済発展と人口増加に伴って森林の減少は加速し、モデルによる森林減少の予測値がミャンマー政府によるFRLを上回ることがわかり(表1)、FRLは上方修正の必要があることを指摘しました。この研究成果は、ミャンマーにおけるREDD+の進展や政策の改善に貢献することが期待されます。

(本研究は2020年1月にForests誌にオンライン公表されました。)

 

図1:中水準の人口予測値と一人当たりGDP成長率の三シナリオを用いた森林面積予測の結果。

図1:中水準の人口予測値と一人当たりGDP成長率の三シナリオを用いた森林面積予測の結果

 

表1:予測した年次森林面積減少値(単位:千ha)

表1:予測した年次森林面積減少値

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