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事故直後に山地森林を覆った放射性セシウムを含む雲霧

2020年3月13日掲載

論文名

Fogwater deposition of radiocesium in the forested mountains of East Japan during the Fukushima Daiichi Nuclear Power Plant accident: A key process in regional radioactive contamination (福島第一原発事故直後の霧水沈着による東日本の山地森林への放射能汚染:地域汚染のキープロセス)

著者(所属)

今村 直広(立地環境研究領域)、堅田 元喜(茨城大学)、梶野 瑞王(気象研究所)、小林 政広・伊藤 優子(立地環境研究領域)、赤間 亮夫(震災復興・放射性物質研究拠点)

掲載誌

Atmospheric Environment、224:117339、Elsevier、March 2020 DOI:10.1016/j.atmosenv.2020.117339(外部サイトへリンク)

内容紹介

一部の地域の山地森林は、福島第一原子力発電所事故の際に大量に放出された放射性物質により広く曝されました。森林生態系内の放射性セシウムの分布や動きを明らかにして将来の予測をするためには、事故直後に放射性セシウムがどのような形態で森林に入ってきたのかを明らかにすることが必要です。

著者らは、原発事故直後に汚染物質が飛来した山地森林で採取した霧(写真)や森林の樹冠を通過した林内の雨(林内雨)の放射性セシウム濃度は林外の雨(林外雨)より高いことを明らかにしました。通常、雨が樹冠を通過すると、樹冠で放射性セシウムが取り除かれるため、濃度は低くなります。しかし、濃度の高い霧が樹冠に付着する場合には反対に林内で高くなっていました(図1)。そこで、2011年3月に21箇所の山地森林で観測された林内雨と林外雨の放射性セシウム濃度の関係を解析すると、高標高域に存在する森林では林内雨の濃度が相対的に高くなる傾向が見られました(図2)。このような場所は、大気モデル計算や雲底高度解析による霧水が落ちた場所とも一致しており、これらの山地森林では雲や霧により放射性セシウムが沈着したことがわかりました。

霧は雨に比べると高い濃度の放射性セシウムを含む水が葉の表面や樹皮に長時間付着し続けることになるため、樹木表面から放射性セシウムが吸収されやすくなると考えられます。本研究は、霧によって汚染された比較的標高が高い山地にある森林に負荷された放射性セシウムの循環の解明に役立つことが期待されます。

2020年4月10日まで以下サイトから、論文のダウンロードが可能です。

https://authors.elsevier.com/a/1abuY4pTZHdee7

(本研究は2020年3月1日にAtmospheric Environment誌にオンライン公表されました。)

 

写真:秩父山地に設置した霧サンプラー

写真:秩父山地に設置した霧サンプラー

 

図1:雨と霧の場合における雨と林内雨の放射性セシウム濃度の関係

図1:雨と霧の場合における雨と林内雨の放射性セシウム濃度の関係

矢印の大きさは放射性セシウム濃度を示す。

 

図2:21箇所の山地森林における標高と放射性セシウムの林内雨の濃度

図2:21箇所の山地森林における標高と放射性セシウムの林内雨の濃度/林外雨の濃度の関係

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【研究担当者】
森林総合研究所 立地環境研究領域 今村 直広
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