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注射でサクラを守る:外来種クビアカツヤカミキリに対する樹幹注入剤の有効性を確認しました

2020年5月12日掲載

論文名

サクラに穿孔した侵略的外来種クビアカツヤカミキリの幼虫に対する樹幹注入剤の効果

著者(所属)

砂村 栄力(森林昆虫研究領域)、田村 繁明(森林総研PD)、加賀谷 悦子(森林昆虫研究領域)

掲載誌

環動昆、31巻1号、13-19、日本環境動物昆虫学会、2020年4月

内容紹介

近年サクラやウメ、モモ等の枯死が問題になっています。犯人は外来種のクビアカツヤカミキリです。この幼虫が樹木内部にトンネルを掘って(穿孔といいます)食い荒らすと枯れるのです。被害を防ぐ取り組みが急務となっていますが、私たちは樹幹注入剤に着目しました。樹幹注入剤は「木へ注射する薬」です。木の幹に薬液を注入し、樹木自身の水の運搬によって薬剤を木全体に行き渡らせます。薬剤を空中散布せずに済むのが長所です。本研究では、クビアカツヤカミキリの幼虫に穿孔されたソメイヨシノ5本に樹幹注入剤(有効成分ジノテフラン)を使用して効果を検証しました。このカミキリは穿孔している穴から木屑や糞(フラス)を大量に排出するので、フラス排出を幼虫の生死の目印としました。注入後6か月にわたる観察の結果、注入前に確認された穴のうち72%は2週間以内にフラス排出が止まりました。薬剤の効果によって幼虫が死んだと判断しました。一方、残りの28%は効果がありませんでした。それらの穴の周辺を観察すると樹勢の衰えや集中的な穿孔があり、水の運搬がうまくいかず薬剤が届きにくかったと考えられました。そのような箇所は切除などによる駆除が必要です。

樹幹注入剤は薬剤が葉まで届くので主に食葉性昆虫や吸汁性昆虫に対して使われてきましたが、本研究は穿孔性昆虫に対して有効性を示した貴重な事例といえます。

 

(本研究は2020年4月に環動昆に公表されました。)

 

 

写真1:クビアカツヤカミキリ成虫
写真1:クビアカツヤカミキリ成虫。

写真2:クビアカツヤカミキリ幼虫
写真2:クビアカツヤカミキリ幼虫。

写真3:幼虫が穿孔している穴(矢印)
写真:幼虫が穿孔している穴(矢印)。
穴から排出されたフラスは枝の付け根や根元に溜まる。

写真4:樹幹注入処理の様子
写真:樹幹注入処理の様子。

 

お問い合わせ先

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森林総合研究所 研究ディレクター 正木 隆
【研究担当者】
森林総合研究所 森林昆虫研究領域 砂村 栄力
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