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孤島におけるタコノキの遺伝的多様性は移入した島の古さや位置により決まる

2020年5月12日掲載

論文名

Genetic diversity, structure, and demography of Pandanus boninensis (Pandanaceae) with sea drifted seeds, endemic to the Ogasawara Islands of Japan: Comparison between young and old islands. (孤島におけるタコノキの遺伝的多様性は移入した島の古さや位置により決まる)

著者(所属)

鈴木 節子(樹木分子遺伝研究領域)、須貝 杏子(島根大学)、玉木 一郎(岐阜県立森林文化アカデミー)、高山 浩司(京都大学)、加藤 英寿(東京都立大学)、吉丸 博志(樹木分子遺伝研究領域)

掲載誌

Molecular Ecology, volume 29, April 2020 DOI:10.1111/mec.15383(外部サイトへリンク)

内容紹介

小笠原諸島には3400-4400万年前に形成された古い島(聟島、父島、母島列島の属する小笠原群島)と、その南に1-75万年前に形成された新しい島(硫黄列島)があります(図1)。小笠原諸島の固有種タコノキ(写真1)はそのどちらにも分布し、長さ8cmほどの果実は主に海流や小笠原固有種のオオコウモリによって散布されます。今回、小笠原諸島の20の島に生育する34のタコノキ集団の遺伝的な多様性や構造、集団サイズの拡大様式を調べました。その結果、新しい島では古い島に比べて遺伝的多様性が低いこと、新しい島は古い島と遺伝的に大きく異なること(図2)、古い島では定着後集団が拡大したのに対し新しい島では集団が小さいままであることが分かりました。また、遺伝子流動には南から北への方向性があり、北方の島ほど遺伝的多様性が高い傾向がみられました。硫黄列島のタコノキは小笠原群島から移入したものの、集団は拡大できず、また、その後の遺伝子流動もほとんどないために、遺伝的多様性も低いまま、元の集団から遺伝的に分かれていったと考えられます。本研究により孤島に移入定着した種の遺伝的多様性の成立過程をとらえることができました。

 

(本研究は2020年4月にMolecular Ecologyにオンライン公表されました。)

 

写真1:タコノキ

写真1:タコノキ(Pandanus boninensis)。左上のパイナップルのような球形のものが集合果で直径20cmにもなります。

 

図1:小笠原群島と硫黄列島の位置関係

図1:小笠原群島と硫黄列島の位置関係。聟島列島と父島列島、父島列島と母島列島の間は約40km、小笠原群島と硫黄列島の間は約150km。

 

図2:小笠原群島と硫黄列島のタコノキの遺伝的分化
図2:小笠原群島と硫黄列島のタコノキの遺伝的分化。小笠原群島の集団(黄:聟島列島、青:父島列島、赤:母島列島)と、硫黄列島(緑)の集団とは大きく異なることわかります。

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