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水やりを控えたスギコンテナ苗では乾燥耐性が高くなる

2020年6月5日掲載

論文名

Drought hardening contributes to the maintenance of proportions of non-embolized xylem and cambium status during consecutive dry treatment in container-grown seedling of Japanese cedar (Cryptomeria japonica). (スギコンテナ苗において、土壌乾燥ハードニングは、継続的な乾燥処理の間、塞栓の無い木部の割合と形成層の状態を維持することに寄与する)

著者(所属)

才木 真太朗(植物生態研究領域)、安藤 裕萌(きのこ・森林微生物研究領域)、矢崎 健一・飛田 博順(植物生態研究領域)

掲載誌

Forests、11(4)、441、April 2020 DOI:10.3390/f11040441(外部サイトへリンク)

内容紹介

日本では、幼齢の樹木が受ける気象害のなかで土壌乾燥による被害の割合が最も高く、植栽後の5年間で約4割を占めます。加えて、林業現場ではコンテナ苗を用いて年間労働力の平準化を模索しており、これに伴い土壌が乾燥する時期にも植栽が拡大する傾向にあります。そこで我々の研究では、土壌乾燥による苗木の枯死を抑えるため、「植栽前にスギコンテナ苗への水やりを控えて、あらかじめ土壌乾燥を経験させることで(ハードニング処理)、苗木の土壌乾燥耐性が向上するのか」について水分生理学的な観点から調べました。

ハードニング処理した苗木では、蒸散量(葉から失われる水の量)が低下し、培土の水を節約して利用するようになりました。この性質の変化により、水やりを止めて培土を乾燥させても、幹には長い間水が保持され、細胞も正常な状態で維持されていました(図)。このように、スギコンテナ苗では水やりを控えるハードニング処理により、土壌乾燥耐性が高くなる性質を獲得することが分かりました。本研究の成果は、乾燥ストレスに強いコンテナ苗の育苗技術の開発に貢献します。

 

(本研究は2020年4月にForestsで公表されました)

 

写真:スギコンテナ苗の電子顕微鏡写真

写真:水やりをやめて13日目のスギコンテナ苗で地際付近の幹の凍結試料を電子顕微鏡で観察した写真です。黒く見える箇所は水が抜けています。ハードニング処理ありはハードニング処理なしに比べて、黒い部分が少なく、細胞の形の変形が少ないことから、水がより保持されて細胞が健全な状態だと考えられます。スケールの長さは100μmです。記載論文の図を一部改変して使用しました。

お問い合わせ先

【研究推進責任者】
森林総合研究所 研究ディレクター 宇都木 玄
【研究担当者】
森林総合研究所 植物生態研究領域 才木 真太朗
【広報担当者】
森林総合研究所 広報普及科広報係
【取材等のお問い合わせ】
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