研究紹介 > 研究成果 > 研究成果 2020年紹介分 > 地形の異なる林分においてスギの葉量と枝量を推定する手法を開発
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2020年6月5日掲載
論文名 |
A simple method for leaf and branch biomass estimation in Japanese cedar plantations. (スギ人工林における葉と枝の量を推定する簡易手法) |
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著者(所属) |
稲垣 善之(四国支所)、中西 麻美(京都大学)、丹下 健(東京大学) |
掲載誌 |
Trees: Structure and Function 34: 349–356 Springer Nature 2020年4月 DOI:10.1007/s00468-019-01920-8(外部サイトへリンク) |
内容紹介 |
スギの人工林の炭素固定機能や物質循環を理解するうえで葉量を推定することはとても重要です。これまでは伐倒調査によって得られた樹形のパイプモデル理論注1)によるアロメトリー式注2)を用いて、スギ林分の葉量や枝量を推定してきました(図1)。しかし、斜面の上部や下部など異なる地形に植栽されたスギで、同じアロメトリー式が使えるかどうかは明らかではありませんでした。 そこで、本研究では4つの地域を対象に、斜面の上下で地形の異なるスギ人工林において求めたアロメトリー式を比較検討しました。その結果、林齢60年生以下の壮齢林では、異なる地形でも生枝下幹面積から葉量・枝量を推定するアロメトリー式は同じであり、斜面の上下で共通のアロメトリー式を利用できました(図2)。一方、このアロメトリー式は地域によって異なっており、地域ごとにアロメトリー式を作成することが必要なことがわかりました。このことから一定の地域内では共通のアロメトリー式を利用して葉や枝量を簡便に推定することが可能となり、地域の森林の多面的機能評価に基礎的な情報を提供できます。 注1)篠崎吉郎博士らによって1964年に発表された樹形と葉量に関する理論で、生枝下幹面積と葉量には比例関係があります。 注2)2つの指標(樹高と胸高直径等)の間に成立する関係式。
(本研究は2020年4月にTrees: Structure and Functionで公表されました)
図1 パイプモデル理論に基づく葉量の推定。生枝下幹面積(生枝下高における幹の断面積)に定数をかけると葉量を推定することができます。
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