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滞水ストレスに対する樹木の根の反応は3タイプに分けられる

2020年7月6日掲載

論文名

Root Responses of Five Japanese Afforestation Species to Waterlogging(日本の造林・緑化樹種5種における根の滞水ストレス応答)

著者(所属)

藤田 早紀(東京大学)、野口 享太郎(東北支所)、丹下 健(東京大学)

掲載誌

Forests、11、552、May 2020、 DOI:10.3390/f11050552(外部サイトへリンク)

内容紹介

水は樹木の生育に無くてはならないものですが、多すぎるとストレスになることもあります。近年、気候変動による降雨パターンの変化が予測されており、地域によっては降水量や降雨強度が増大する可能性があります。その場合、もともと水はけの悪い林地や緑地では頻繁に滞水が生じて、酸素不足による根腐れなどで樹木が枯れたりすることが懸念されます。しかし、滞水ストレスに対する樹木の根の反応については、まだよく分かっていません。

そこで本研究では、海岸林や公園などの緑化に使われる5樹種の苗木について、約2ヶ月半の滞水条件で根の反応を調べてみました(写真1)。その結果、クロマツ、イタヤカエデ、コナラの3種では、滞水により根の成長が止まり(図1)、元々あった根の一部も枯死するなど、滞水ストレスに弱いことが分かりました。それに対して、川沿いや湿地にも生育するヤマハンノキとヤチダモでは、滞水条件でも根が成長を続けていました(図1)。また、この2樹種を比べると、ヤマハンノキでは元々あった根の一部が枯死したのに対し、ヤチダモの根はほとんど枯死しませんでした。このように、樹木の根の滞水ストレスに対する反応には、(1) 成長への影響が小さくダメージを受けにくい、(2) 成長できるが元々あった根は弱る、(3) 成長できず元々あった根も弱る、の3タイプがあることが明らかになりました。これらの結果は、海岸や平野部で植林を行う際に、その環境に適した樹種を選ぶ上で重要な情報と言えます。
 

(本研究は2020年5月にForestsで公表されました。)

 

写真1:滞水処理試験の様子

写真1:滞水処理試験の様子(クロマツ)。ポットの排水口をゴム栓でふさぐとともに、天候や苗木の水消費量に応じて1日~3日に一度の頻度で給水を繰り返し、地表面が冠水する状態を維持した。

 

図1:2ヶ月半の滞水処理期間中に成長した細根の量
図1:2ヶ月半の滞水処理期間中に成長した細根の量(1個体あたり)。それぞれの樹種について、左側が通常条件(対照)、右側が滞水条件における細根成長量。クロマツ、イタヤカエデ、コナラの根は滞水条件ではほとんど成長できない。ヤマハンノキ、ヤチダモの根は、滞水条件下では土壌の表層(斜線部、深さ0-15cm)で特に根の成長量が大きい。(記載論文の図を一部改変して使用した)
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【研究担当者】
森林総合研究所 東北支所 野口 享太郎
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