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根の枯死分解は数十年後の土壌の放射性セシウム分布を変化させる

2020年9月11日掲載

論文名

Assessment of vertical radiocesium transfer in soil via roots(根を介した土壌中の放射性セシウムの鉛直移動の評価)

著者(所属)

坂下 渉・三浦 覚・赤間 亮夫(震災復興・放射性物質研究拠点)、大橋 伸太(木材加工・特性研究領域)、池田 重人(震災復興・放射性物質研究拠点)、齋藤 智之(東北支所)、小松 雅史(きのこ・森林微生物研究領域)、篠宮 佳樹(震災復興・放射性物質研究拠点)、金子 真司(関西支所)

掲載誌

Journal of Environmental Radioactivity、Volume 222 106369、ELSEVIER、2020年8月 DOI:10.1016/j.jenvrad.2020.106369(外部サイトへリンク)

内容紹介

福島第一原子力発電所事故後の森林土壌中の放射性セシウム分布変化を把握することは、土壌から樹木への放射性セシウム吸収量を予測し、汚染地域での林業再開につなげる上で不可欠です。原発事故由来の放射性セシウムは粘土鉱物により吸着され、現在その大部分が森林土壌の表層に留まっていると考えられています。しかし、半世紀以上前の大気圏内核実験由来の放射性セシウムは現在の森林土壌の深部にまでおよんでおり、放射性セシウムの長期的な下方移動プロセスについては不明な点が多く、土壌中の放射性セシウムの動態予測において重要な課題となっています。

著者らは、生産・枯死・分解過程により、カリウムなどの栄養塩を土壌へと還元する「細根」の役割に着目し、様々な植生(スギやヒノキなど)により被覆された森林土壌から採取した細根と土壌中の放射性セシウムの蓄積量(Bq/m2)を調べました。その結果、土壌表層0-10cmの細根の土壌に対する放射性セシウム蓄積量の割合は約1%であるのに対し、10cm以深ではその割合が約2%であることが分かりました。この結果は、細根の生産・枯死・分解が数十年間起こり続けると、表層と10cm以深の土壌の放射性セシウム蓄積量の差が徐々に小さくなり、森林土壌中の放射性セシウムの鉛直分布が変化する可能性があることを示唆しています。本研究成果は、森林土壌中の放射性セシウムの長期動態予測の精度向上に貢献するものです。

 

(本研究は2020年8月に Journal of Environmental Radioactivityでオンライン公表されました。)

 

図:森林土壌中での放射性セシウムの長期的な下方移動に関する着想

図:本研究で示した森林土壌中での放射性セシウムの長期的な下方移動に関する着想。
a)現在、森林土壌では表層に放射性セシウムが多いが、b)成長部位である細根では放射性セシウム濃度が高くなり、c)その枯死・分解により、d)土壌深部に放射性セシウムが運ばれる可能性があります。

お問い合わせ先

【研究推進責任者】
森林総合研究所 研究ディレクター 大丸 裕武
【研究担当者】
森林総合研究所 震災復興・放射性物質研究拠点 坂下 渉
【広報担当者】
森林総合研究所 広報普及科広報係
【取材等のお問い合わせ】
相談窓口(Q&A)E-mail:QandA@ffpri.affrc.go.jp
電話番号:029-829-8377(受付時間:平日9時30分~12時、13時~16時30分)

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