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枝や葉の放射性セシウム濃度は季節で変わる

2020年10月30日掲載

論文名

Seasonal changes in radiocesium and potassium concentrations in current-year shoots of saplings of three tree species in Fukushima, Japan(福島における3樹種の幼木の当年生枝葉の放射性セシウムとカリウム濃度の季節変化)

著者(所属)

田中 憲蔵(植物生態研究領域)、齊藤 哲(関西支所)、三浦 覚(震災復興・放射性物質研究拠点)、梶本 卓也(東北支所)、小林 奈通子・田野井 慶太朗(東京大学大学院)

掲載誌

Journal of Environmental Radioactivity誌、 Elsevier、2020年9月 DOI:10.1016/j.jenvrad.2020.106409(外部サイトへリンク)

内容紹介

福島第一原発事故により広範囲の森林が放射性セシウムで汚染されました。森林管理や林業を行う上で、事故当時に直接汚染された樹木だけでなく事故後に新しく育ってきた樹木についても、放射性セシウムの樹体内での動態を明らかにすることが重要です。新しく育った樹木は放射性セシウムを土壌から吸収しますが、樹体内での季節的な濃度変化はほとんど分かっていませんでした。そこで、事故後に育ったアカマツ、スギ、コナラの葉と枝について、2年間にわたって放射性セシウム濃度の季節変化を調べました。3種とも、濃度は春に高く、夏にかけて大きく低下し、秋から冬にかけてはほとんど変化しませんでした。このような変化は枝や葉の成長と対応しており、春先の若葉や若枝が急激に大きくなることで樹体内の濃度が希釈されたことが原因でした。また、植物の養分のひとつであるカリウムも同様の季節変化をしており、放射性セシウムは元素特性が似たカリウムと共に樹体内を移動していることがわかりました。放射性セシウム濃度の季節的な変化やそのメカニズムを知ることで、樹木や森林内の放射性セシウムの動態や蓄積量を精度良く推定することが可能になります。

 

(本研究は2020年9月にJournal of Environmental Radioactivityでオンライン公開されました。)

 

写真:スギとコナラの季節ごとの葉の写真

写真:スギ(上)とコナラ(下)の季節ごとの葉の写真
新芽を展開する春には葉は小さく、夏にかけて急激に成長し、秋にはほとんど成長が止まります。

 

図:葉の放射性セシウム濃度の季節変化

図:葉の放射性セシウム濃度の季節変化
葉の放射性セシウム濃度は、春に高く、葉の成長とともに夏にかけて大きく低下し、成長が停止した秋から冬にかけては比較的安定していました。当年枝やカリウム濃度もほぼ同じ季節変化を示しました。また、コナラに比べスギでは放射性セシウムの低下の割合が比較的大きかったです。これはコナラの葉に比べ、スギのほうが春から夏にかけての成長量が大きく、希釈の効果が高かったためと考えられました。

お問い合わせ先

【研究推進責任者】
森林総合研究所 研究ディレクター 大丸 裕武
【研究担当者】
森林総合研究所 植物生態研究領域 田中 憲蔵
【広報担当者】
森林総合研究所 広報普及科広報係
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