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アカシアからユーカリへ樹種転換しただけではN2O発生量は短期間では減らせない

2020年12月1日掲載

論文名

Effects of conversion from leguminous acacia to non-leguminous eucalyptus on soil N2O emissions in tropical monoculture plantations.(マメ科アカシアから非マメ科ユーカリへの熱帯単層植林の転換が土壌N2O発生量に及ぼす影響について)

著者(所属)

石塚 成宏(立地環境研究領域)、森 大喜(九州支所)、中山 裕貴・川端 ちあき・根田 遼太・佐々木 卓也・沢 悠希子・鱧谷 友樹・河原 由香里・桑島 圭(京都大学)、Agus Wicaksono・Joko Heriyanto・Arisman Hardjono(MHP社)、太田 誠一(京都大学)

掲載誌

Forest Ecology and Management、481、118702、Elsevier、2021年2月 DOI:10.1016/j.foreco.2020.118702(外部サイトへリンク)

内容紹介

マメ科樹木は根粒菌を形成して大気中の窒素を取り込んで利用するため、樹体内だけでなく落葉に含まれる窒素量も多くなります。この窒素を多く含む落葉が土壌に加わることにより、土壌中の窒素の循環量が増大します。温室効果ガスの約6%を占め、二酸化炭素の約300倍の温室効果のある亜酸化窒素(N2O)は土壌中の窒素循環量が多い場所で多く発生するため、マメ科樹木の植林地はN2Oの重要な発生源と考えられています。我々は、マメ科樹木のアカシアから非マメ科樹木のユーカリに植林樹種を転換することでN2Oの発生量を抑制できるかどうかを調べました。

マメ科アカシア林の伐採跡地において、再びアカシアを植栽した場合のN2O発生速度は0.96 mg N m-2 day-1であり、ユーカリを植栽した場合の1.07mg N m-2 day-1とほとんど差はありませんでした。これは伐採前アカシア林だった時代に高まった土壌中の窒素循環量が、ユーカリを植栽した後も高く維持されたためと考えられます。

アカシアからユーカリへ植林樹種を転換しても、N2O発生量の削減にはつながりませんでした。今回は4年間という比較的短期間の調査結果であったため、より長期的な観測で結論を出すことが必要です。本結果はN2O発生量の軽減策として植林樹種の転換以外の選択肢も検討することが重要であることを示しています。

 

(本研究は2020年10月にForest Ecology and Managementでオンライン公開されました。)

 

写真:左:アカシア植林地、右:ユーカリ植林地

写真:左:アカシア植林地、右:ユーカリ植林地

 

 

図:アカシア林とユーカリ林の土壌からのN2O発生速度
図:植栽1年後から4年後まで一貫して、アカシア林とユーカリ林の土壌からのN2O発生速度には統計的な有意差がなかった

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