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ユーカリの樹体内でアルミニウム無毒化タンニンの材料を合成する酵素を解析

2020年12月23日掲載

論文名

Dehydroquinate dehydratase/shikimate dehydrogenases involved in gallate biosynthesis of the aluminum-tolerant tree species Eucalyptus camaldulensis.(アルミニウム耐性樹木Eucalyptus camaldulensisの没食子酸生合成に関係するデヒドロキナ酸脱水酵素/シキミ酸脱水素酵素)

著者(所属)

田原 恒・西口 満(樹木分子遺伝研究領域)、Evelyn Funke(ライプニッツ植物生化学研究所)、宮澤 真一(樹木分子遺伝研究領域)、深山 貴文(森林防災研究領域)、Carsten Milkowski(マルティン・ルター大学ハレ・ヴィッテンベルク)

掲載誌

Planta 253 (1): 3、Springer、2020年12月発行 DOI:10.1007/s00425-020-03516-w(外部サイトへリンク)

内容紹介

世界の陸地の約3割を占める酸性の土壌では、アルミニウム過剰害が問題となる場合があります。オーストラリア原産の樹木ユーカリ(Eucalyptus camaldulensis)は、アルミニウム過剰害に非常に強く、酸性の土壌でも旺盛に育つことができます(図1)。私たちは、ユーカリの根で合成されるポリフェノールの一種であるタンニンが、根に侵入したアルミニウムと結合して無毒化することをこれまでに明らかにしてきました。樹木に含まれるタンニンの量を制御できれば、アルミニウム過剰害に強い樹木を作ることができます。そのためには、タンニンが樹体内でどのように合成されているかを明らかにする必要があります。

タンニンがユーカリの樹体内で合成される起点となる物質は没食子(もっしょくし)酸で、3-デヒドロシキミ酸から合成されます(図2)。今回、没食子酸を合成する2種類の酵素の遺伝子をユーカリで特定し、その特性の詳細を解析し、それらの酵素により没食子酸が合成される仕組みを分子立体構造のモデル計算によって予測しました(図3)。

今後、没食子酸を出発材料として、ユーカリの樹体内で、どのようにタンニンが合成されているかを明らかにしていきます。

 

(本研究は、2020年12月にPlantaで公表されました。)

 

図1:ユーカリは、有毒なアルミニウムを多く含む酸性の土壌でも旺盛に成長します。

図1:ユーカリは、有毒なアルミニウムを多く含む酸性の土壌でも旺盛に成長します。

 

図2:ユーカリで没食子酸を合成する酵素

図2:ユーカリで没食子酸を合成する酵素(EcDQD/SDH2とEcDQD/SDH3)を特定しました。没食子酸からアルミニウム無毒化タンニンが作られます。

 

図3:没食子酸合成酵素の予測立体構造

図3:没食子酸合成酵素の予測立体構造。合成酵素(EcDQD/SDH2:細線)に3-デヒドロシキミ酸(黄色太線)が結合し、補酵素(NADP+:灰色太線)の働きにより没食子酸に変換されます。

 

Springerからの許可を得て、記載論文の図を一部改変して使用しました。

 

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【研究担当者】
森林総合研究所 樹木分子遺伝研究領域 田原 恒
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