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被陰シェルターで高温・乾燥ストレスを緩和して熱帯の森を再生する

2021年3月1日掲載

論文名

Artificial shade shelters mitigate harsh microclimate conditions and enhance growth in tropical tree seedlings planted in degraded land(人工的被陰シェルターは過酷な微気象条件を緩和し劣化した熱帯林に植栽した苗の成長を促進する)

著者(所属)

田中 憲蔵(植物生態研究領域)、米田 令仁(四国支所)、Mohamad Alias Azani(マレーシアプトラ大学)

掲載誌

Tropics、29(4)、March 2021 DOI:10.3759/tropics.MS20-07(外部サイトへリンク)

内容紹介

東南アジア熱帯雨林地域では、森林の乱開発によりほぼ裸地化した土地がみられます。このような土地に緑化のために樹木を植栽しても、高温や強い乾燥のためにうまく生育しません。そこで植えた苗を覆う被陰シェルターを開発し、その効果を確かめる試験をマレーシアの荒廃裸地で行いました。試験では、郷土樹種のジェルトン(Dyera costulata)の苗を植え、植栽から16か月間の生育状況と葉の生理的な機能を調べました。シェルター内では、裸地に比べて気温が1.5~3℃低く、湿度が7~12%高かったことから、過酷な生育環境が緩和されていることが分かりました。シェルター内の苗は、葉の生理機能が健全で葉の量も裸地の苗に比べて約1.5倍多く、樹高も最大で1.7倍高くなりました。一方、裸地にそのまま植栽した苗は、植栽直後に葉の生理機能がダメージを受けており、落葉も進んだため成長が抑制されました。このように、被陰シェルターを用いると裸地の劣悪な生育環境が改善され、植栽した苗の成長が大きく促進されることが明らかになりました。気候変動により高温・乾燥ストレスが増大し、特に荒廃地ではその影響が強くなると考えられます。開発した技術は、将来にわたり熱帯の森を再生する有効な手段となります。

注)郷土樹種(在来樹種とも呼ばれ、地域にもともと生育している樹木)

 

(本研究は、2021年3月にTropicsにおいてオンライン公表されました。)

 

写真:開発した被陰シェルターとジェルトンの苗
写真:開発した被陰シェルター(左)と裸地(右)に植栽して1年が経過したジェルトンの苗。裸地の苗は蒸散量を減らして乾燥ストレスを回避するため、葉の量がシェルター内の苗より少なく、樹高も6割にとどまっていました。

お問い合わせ先

【研究推進責任者】
森林総合研究所 研究ディレクター 平田 泰雅
【研究担当者】
森林総合研究所 植物生態研究領域 田中 憲蔵
【広報担当者】
森林総合研究所 広報普及科広報係
【取材等のお問い合わせ】
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