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気候変動に伴うスギ人工林の生産力の変化を全国規模で予測

2021年3月22日掲載

論文名

Estimating spatial variation in the effects of climate change on the net primary production of Japanese cedar plantations based on modeled carbon dynamics(炭素動態モデルに基づくスギ人工林の純一次生産量に対する気候変動影響の広域予測)

著者(所属)

鳥山 淳平(九州支所)、橋本 昌司(立地環境研究領域、東京大学)、大曽根 陽子(元森林総研PD)、山下 尚之・釣田 竜也(立地環境研究領域)、清水 貴範(森林防災研究領域)、斎藤 琢(岐阜大学)、澤野 真治(北海道支所)、LEHTONEN Aleksi(フィンランド自然資源研究所)、石塚 成宏(立地環境研究領域)

掲載誌

PLOS ONE, 16(2): e024716 February 2021 DOI:10.1371/journal.pone.0247165(外部サイトへリンク)

内容紹介

近年、世界各地で気候変動の影響が顕在化しています。気候変動(気温の上昇、降雨の極端化など)がさらに進んだ場合、わが国の人工林の生産力も影響を受けるとみられています。しかしながら、森林の生産力には多くの要因が複雑に絡み合っており、人工林の生産力の将来予測は容易ではありません。

今回、森林の光合成、呼吸などの計算式を組み込んだシミュレーションモデル(陸域炭素循環モデル)をスギ林用に調整することにより、将来的な気候変動がスギ人工林の純一次生産量(注1)に与える影響を、わが国で初めて全国1kmメッシュの高解像度で予測しました。その際、大気中の二酸化炭素濃度の上昇の影響も考慮しました。

その結果、5つの気候モデル(注2)が予測する将来気候シナリオの全国平均値では、温室効果ガスの低排出、および高排出シナリオのいずれにおいても、スギ林の純一次生産量が増加すると予測されました。低排出シナリオでは西日本の一部地域で純一次生産量の低下が予測されましたが、その低下幅は小さく、気候変動がスギ人工林の純一次生産量に与えるマイナスの影響は限定的である可能性が示唆されました。

本研究の成果はわが国の林業分野において、気候変動の緩和策(二酸化炭素の吸収源の確保)と適応策の両立を推進するための基盤情報を提供します。それにより、将来にわたり安定的に木材生産を続けるための森林管理に貢献します。

 

(注1)純一次生産量:植物の光合成により大気から取り込まれる炭素量から、呼吸により消費される炭素量を引いたもの。

(注2)気候モデル:大気・海洋・陸域等における気象現象を、物理法則により記述したモデル。地球規模の気候モデルはGCM(Global Climate Model)と呼ばれ、気候変動の予測に用いられる。

 

本研究は農林水産技術会議事務局委託プロジェクト「人工林に係る気候変動の影響評価」により実施されました。

 

(本研究は2021年2月にPLOS ONEでオンライン公表されました。)

 

図-1:スギ人工林の純一次生産量とその変化の将来予測

図-1:スギ人工林の純一次生産量とその変化の将来予測

PLOS ONEの図を改変して作成した。

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