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樹木更新の厄介者のササは伐採前だと抑制が可能

2021年8月11日掲載

論文名

刈払いおよび抑制剤散布を用いた林冠下のササ抑制の効果 ―天然生ヒノキ林の天然更新に向けた地床処理方法の検討―

著者(所属)

齋藤 智之(東北支所)、酒井 武(森林植生研究領域)、壁谷 大介(植物生態研究領域)、杉田 久志(富山県農林水産総合技術センター森林研究所)、九島 宏道(多摩森林科学園)、星野 大介(森林植生研究領域)、楯 直顕(元中部森林管理局木曽森林管理署)、早川 幸治(中部森林管理局木曽森林管理署)、久保 喬之(中部森林管理局治山課)、今村 正之(中部森林管理局木曽森林管理署)、黒田 誠(中部森林管理局技術普及課)

掲載誌

日本森林学会誌、103巻3号、179-185、日本森林学会、2021年6月

内容紹介

ササが林床に繁茂すると樹木の天然更新を阻害するため、刈払いや薬剤処理などによるササの抑制が不可欠です。従来、こうした処理(更新補助作業と呼ぶ)は、ヒノキ林などの上木の伐採後に実施されてきました。しかし、伐採で明るくなるとササの回復・繁茂が急激に進み、ヒノキの天然更新が失敗に終わることが多く観察されていました。今回、上木の伐採前に更新補助作業を行えば、ササをほぼ完全に抑制できることが明らかになりました。

本研究では、木曽の天然生ヒノキ林の更新補助作業を伐採前におこない、その後上木を伐採してもササ(チマキザサ)が回復できない状態が持続される方法を検討しました。その結果、4年間毎年の刈払いや、一回刈払い+薬剤散布など、刈り払いを含む作業(ササ刈払い法)では、ササは処理直後にほぼ再生能力を失い、その後数年で地下部も含めて枯死しました。一方薬剤散布処理のみでは、処理により減少した地上部は4年後には回復し、地下茎はほぼ影響がなかったために枯殺には至りませんでした。

以上の結果から、上木伐採前にササ刈払い法を用いれば、ササへの抑制効果は絶大で、ヒノキの前生稚樹が確実に育成してから上木を伐採すれば、更新の成功が期待できます。またササの刈払い処理は初回の実施だけでもササの再生能力を著しく低下させる効果があるため、更新補助作業の省力化・効率化にも貢献することがわかりました。

(本研究は、日本森林学会誌において2021年6月に公表されました。)

 

写真(左) 伐採前の閉鎖林冠下におけるササの繁茂状況 写真(右) 連年刈払い処理を行った林分

写真 伐採前の閉鎖林冠下におけるササの繁茂状況(左)に対し、連年刈払い処理を行った林分(右)。

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