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アカシア林のN2O排出量は伐採・植栽後1年間が最も大きくなる

2021年9月6日掲載

論文名

N2O emissions in Acacia mangium stands with different ages, in Sumatra, Indonesia(インドネシアのスマトラ島にある林齢の異なるアカシアマンギウム林からのN2O排出量)

著者(所属)

石塚 成宏(立地環境研究領域)、太田 誠一(京都大学)、森 大喜(九州支所)、根田 遼太・河原 由香里・鱧谷 友樹・川端 ちあき(京都大学)、Agus Wicaksono・Joko Heriyanto・Arisman Hardjono(MHP社)

掲載誌

Forest Ecology and Management、Vol.498、119539、Elsevier、2021年7月 DOI:10.1016/j.foreco.2021.119539(外部サイトへリンク)

内容紹介

アカシア植林地は、二酸化炭素の約300倍の温室効果を持つN2Oの排出源と考えられています。インドネシア・スマトラ島のアカシア林は植栽から伐採までを7年サイクルで繰り返しますが、これまでは伐採直前の林分の結果からN2O排出量を評価していたため、このサイクルの中でいつ排出量が多いのか、サイクル期間中の総排出量はどの程度なのかは不明でした。

そこで、7年間の総排出量を推定するため、1年生、3年生および5年生林分で、それぞれ2年半にわたってN2O排出量を観測しました(図1)注1)。その結果、7年間の総排出量は21.5kg N ha-1と推定され注2)、1年生林分の年間排出量は8.92kg N ha-1と、総排出量の4割を占め、3年生や5年生林分の3倍以上でした(図2)。なお、1年生林分以外の年間排出量に大きな違いはありませんでした。N2O排出量は土壌の空気量や無機態窒素注3)量に影響を受けますが、1年生林分の樹木はまだ小さいため水分や無機態窒素の吸収が少なく、これらが土壌中に多く残ることがN2O排出量が多くなる原因でした。

この結果は、これまでの伐採直前の林分による排出量の評価は過小で、植栽から伐採までのサイクル全体の評価が重要であることを示しています。さらに、排出量を減らすには、植栽前に土地耕起によって土壌空気を増やしたり、草本を育成して無機態窒素を吸収させ、土壌の無機態窒素を減らすことなどが有効と考えられます。今後これらの対策の有効性を検証することが必要です。

注1)林齢の異なる林分で同時に観測することで、同じ林分では7年間必要とする期間が半分以下に短縮できます。

注2)アカシア林の7年間の炭素固定による温室効果削減量の4%程度に相当します。

注3)土壌中の窒素は有機態窒素と無機態窒素(硝酸やアンモニアなど)に分けられる。

(参考)「アカシアからユーカリへ樹種転換しただけではN2O発生量は短期間で減らせない」(研究成果 2020年12月1日掲載)。

(本研究は2021年7月にForest Ecology and Managementでオンライン公表されました。)

 

図1 7年間の総排出量を、3つの林分の2年半の観測から推定した仕組み

図1:7年間の総排出量を、3つの林分の2年半の観測から推定した仕組み

 

図2 伐採後の年数(林齢)とN2O排出量の関係

図2:伐採後の年数(林齢)とN2O排出量の関係。伐採後1年以内のN2O排出量は、伐採後7年間のN2O排出量の約4割を占め、最も大きい。

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【研究推進責任者】
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【研究担当者】
森林総合研究所 立地環境研究領域 石塚 成宏
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