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津波の試練に耐えたクロマツは津波の後も生き残る

2021年10月11日掲載

論文名

The decline of Pinus thunbergii and P. densiflora trees in coastal forests from the mega-tsunami following the Great East Japan Earthquake(東日本大震災後の巨大津波を受けた海岸林クロマツとアカマツの衰弱枯死)

著者(所属)

中村 克典(東北支所)、水田 展洋(宮城県技術総合センター)、相川 拓也・磯野 昌弘(東北支所)、市原 優(関西支所)、小澤 洋一(岩手県林業技術センター)

掲載誌

Journal of Forest Research、26、日本森林学会、2021年9月 DOI:10.1080/13416979.2021.1964150(外部サイトへリンク)

内容紹介

2011年の東日本大震災津波で、東北地方太平洋沿岸の海岸林は大きな被害を受けました。海岸林に残ったクロマツやアカマツでは、津波被害後しばらくして衰弱枯死するものがあらわれました。マツ類、とくにクロマツは海辺の厳しい環境に耐える樹種として古くから知られ、海岸林植栽に広く用いられてきたのですが、津波被害後にどれほど生き残るのか、また生き残れない場合には何が原因となるのか、といったことはわかっていませんでした。そこで、私たちは、津波被害の状態の異なる6地域の海岸林に設けた調査区内のクロマツとアカマツの衰退状況を被災後2年間にわたって調査しました。クロマツでは、津波で樹体が変形したり、根元の土壌が掘れて海水が溜まるような激しい被害を受けていた木や他の木の陰になってもともと弱っていた木は被災後すぐに枯死し、押し寄せた海水が地下に停滞していたと考えられる場所では徐々に衰弱して枯れました。しかし、そのような極端なストレスをうけていなかったクロマツは、津波後も順調に生育していました。また、アカマツは海水に浸かると弱ってしまう場合が多いこともわかりました。これらのことから、しっかり育ったクロマツは津波に耐えて生き残ることが明らかになり、海岸林植栽に適した樹種であることを再確認することができました。また、盛土等により侵入した海水が速やかに排除されるようにすることで樹木の衰弱枯死を抑制できると考えられました。

(本研究は2021年9月にJournal of Forest Researchにおいてオンライン公開されました。)

 

写真1:被災半年後の海岸前線部と後背地の様子

写真1:被災後半年が経過し、津波でなぎ倒された海岸前線部のクロマツは枯死したが後背地ではマツ林が維持されていた(矢印)

 

写真2:被災後4年目の残存クロマツ林

写真2:被災後4年目の復興工事区内の残存クロマツ林。

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森林総合研究所 東北支所 中村 克典
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