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木材の放射性セシウム濃度の予測幅は時間とともに増大する -6つの最新モデルで事故後50年間を予測-

2021年10月18日掲載

論文名

Dynamics of radiocaesium within forests in Fukushima ―results and analysis of a model inter-comparison(福島の森林内での放射性セシウムの動態 -モデル相互比較の結果と解析)

著者(所属)

橋本 昌司(立地環境研究領域)、Taku Tanaka(フランス電力)、小松 雅史(きのこ・森林微生物研究領域)、Marc-André Gonze(フランス放射線防護・原子力安全研究所)、坂下 渉(震災復興・放射性物質研究拠点)、操上 広志(原子力研究開発機構)、仁科 一哉(国立環境研究所)、太田 雅和(原子力研究開発機構)、大橋 伸太(木材加工・特性研究領域)、Philippe Calmon・Frederic Coppin(フランス放射線防護・原子力安全研究所)、今村 直広(立地環境研究領域)、林 誠二(国立環境研究所)、平井 敬三(立地環境研究領域)、Pierre Hurtevent(フランス放射線防護・原子力安全研究所)、Jun Koarashi(原子力研究開発機構)、眞中 卓也(立地環境研究領域)、三浦 覚・篠宮 佳樹(震災復興・放射性物質研究拠点)、George Shaw(英国ノッティンガム大学)、Yves Thiry(フランス放射性廃棄物管理機関)

掲載誌

Journal of Environmental Radioactivity、238-239、106721、1-10、2021年9月 DOI:10.1016/j.jenvrad.2021.106721(外部サイトへリンク)

内容紹介

森林内での放射性セシウム*用語説明 の分布は時間とともに変化していくことがわかっています。また、今後の森林利用を考える上で、木材中の放射性セシウム濃度がどう変化するのかを予測することは非常に重要です。

今回、日・仏・英の8つの機関の研究者が独自の最新モデルを使って、森林内の放射性セシウムの分布についてシミュレーションを行い、その予測結果を森林総合研究所が中心となって比較、検討しました。その結果、

1) 事故から10年目後まではモデル間での差が小さく、実際の観測結果と一致しました。

2) 事故から50年後まで延ばして比較すると、木材の放射性セシウム濃度の予測はモデルによって大きく違っていました。

これは、現在得られる知見では、何十年も先の木材の放射性セシウム濃度の予測が困難であることを意味します。事故後に多くの調査が行われデータがとられたことから、事故から現在までの短期的なシミュレーションには十分な情報があるものの、さらに長期に予測結果を延ばした場合、モデルのパラメータの少しの違いが時間とともに予測値に大きな差を生み出すためと考えられます。

この複数のモデルが集って行った比較実験は、現在のモデルの予測性能を評価する上で重要な取り組みです。長期的な放射性セシウムの動態を正確に捉えるためには、長期的な観測データが重要であることを示唆しています。今後も森林内での調査を継続し、そのデータを用いてモデルの検証を行っていくことが重要です。

*用語説明 福島第一原子力発電所事故で放出された主要な放射性物質。半減期が2年のセシウム134と半減期が30年のセシウム137がありますが、長期的な影響を検討するため本研究では半減期の長いセシウム137を対象にしました。

(本研究は、2021年9月にJournal of Environmental Radioactivityにおいて公表されました。)

 

図1:6つのモデルによる木材中の放射性セシウムの長期予測

図1:6つのモデルによる木材中の放射性セシウムの長期予測(スギ・ヒノキ林)。灰色の幅は予測値の最大と最小の値の範囲を示していて、中央の線は予測値の幾何平均を示している。

 

図2:論文の全体像と得られた結果の模式図

図2:論文の全体像と得られた結果の模式図

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【研究推進責任者】
森林総合研究所 研究ディレクター 玉井 幸治
【研究担当者】
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