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「自然を基盤とした解決策」推進のためのアジア地域におけるガバナンスの課題を解明

2021年10月25日掲載

論文名

Governance challenges for implementing nature-based solutions in the Asian region(自然を基盤とした解決策実施のためのアジア地域におけるガバナンスの課題)

著者(所属)

森田 香菜子(生物多様性・気候変動研究拠点)、松本 健一(東洋大学)

掲載誌

Politics and Governance、Volume 9、Issue 4、Pages 102–113、2021年10月 DOI:10.17645/pag.v9i4.4420(外部サイトへリンク)

内容紹介

「自然を基盤とした解決策 (Nature-based Solutions: NbS)」は、国連気候変動枠組条約、生物多様性条約にまたがる対策として、またグリーンリカバリー注1) において注目されている対策の一つです。NbSは気候変動などの多様な社会的課題を解決しながら、同時に人間の幸福や生物多様性の便益をもたらす幅広い対策を指します。NbSを広く推進するにはガバナンス注2) の構築が重要ですが、NbSのためのガバナンスの研究はほとんど行われていません。

本研究では、気候変動、防災・減災、インフラ分野のNbSに焦点を置き、主に文献レビューを基にして、NbSに関する研究や政策的議論が特に乏しいアジア地域のNbS推進のためのガバナンスの課題を整理しました。その結果、(1)気候変動分野のNbSは国連気候変動枠組条約と生物多様性条約、防災・減災分野のNbSは国連防災機関に関連する国際枠組と公的なつながりがあるものの、インフラ分野のNbSは国際枠組との公的なつながりが無く、共通の定義や理解がないこと、(2)気候変動緩和のためのNbS以外は国内のガバナンスや国際協力への位置づけが明確ではないことなどの課題があることがわかりました。これらのガバナンスの課題に対処するためには、NbSのニーズと様々なレベルやセクターの関連制度と行為主体をマッチングさせる枠組を構築し、国内の戦略や政策・国際協力の中にNbSを組み込むガイドラインを策定することが必要です。

注1) 気候変動などの環境対策と共に行うCOVID-19からの経済回復。

注2) ガバナンスは、目標に向かい様々な制度や行為主体が関わり合っていることを指す。

(本研究は、2021年10月にPolitics and Governanceにおいて公開されました。)

 

表1:NbS推進のためのアジア地域におけるガバナンスの主な課題の整理

表1:ガバナンスの主な課題の整理

 

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【研究担当者】
森林総合研究所 生物多様性・気候変動研究拠点 森田 香菜子
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