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無花粉スギの組織培養のための簡易かつ迅速な選抜手法を開発

2021年11月16日掲載

論文名

Marker-assisted selection for pollen-free somatic plants of sugi (Japanese cedar, Cryptomeria japonica): A simple and effective methodology for selecting male-sterile mutants with ms1-1 and ms1-2(不定胚に由来する無花粉スギのマーカー利用選抜:ms1-1およびms1-2を持つ雄性不稔変異体の簡易かつ効果的な選抜法)

著者(所属)

鶴田 燃海・丸山 毅・上野 真義・長谷川 陽一(樹木分子遺伝研究領域)、森口 喜成(新潟大学)

掲載誌

Frontiers in Plant Science, 12:748110、2021年10月 DOI:10.3389/fpls.2021.748110(外部サイトへリンク)

内容紹介

国民の約4割が罹患するといわれるスギ花粉症への対策として、花粉を飛ばさない無花粉スギの利用が進められています。これまでに森林総合研究所と新潟大学では、組織培養技術を用いることで無花粉スギ苗を大量に増殖する基礎技術を開発してきましたが、本研究では、この過程で必須となるDNAによる無花粉スギ系統の選抜手法の簡略化に成功しました。

今回開発した手法では、組織培養の初期段階で誘導されるカルスを試料とし、イオン交換樹脂の一種である市販のキレート樹脂の入った試薬に浸けて98℃以上に加熱するだけの簡易な方法で、1試料当たりわずか15分でDNAを抽出できます。従来の抽出方法で行ってきた液体窒素を用いた試料の破砕や有毒性の危険な有機溶媒も不要で、簡易かつ迅速にDNAを抽出することが可能となりました。

抽出したDNAを用い、本研究でさらに新たに開発したマーカーによってMALE STERILITY 1遺伝子注)の遺伝子型を決定することで、試料としたカルスが無花粉かどうかを100%の精度で判定できます。

これらの手法は、高額な機器がなくても実施可能であるため、無花粉スギの選抜技術として様々な現場への普及が期待できます。

注)MALE STERILITY 1:スギにおける無花粉の原因遺伝子のひとつ。

(参考1)研究成果「無花粉スギ苗の効率的な大量増殖方法を開発しました」(研究成果2020年12月21日掲載)。

(参考2)プレスリリース「無花粉スギの原因遺伝子(MALE STERILITY 1)を同定」(プレスリリース2020年3月30日掲載)。

(本研究は、2021年10月にFrontiers in Plant Scienceにおいてオンライン公表されました。)

 

図1 カルスからの簡易な無花粉スギ系統判別方法の概要図

図1 カルスからの簡易な無花粉スギ系統判別方法の概要図
組織培養により増殖したカルスおよそ5mgの試料をイオン交換樹脂の一種である市販のキレート樹脂を含む溶液に浸けて加熱するだけの方法でDNAを抽出する。PCRと電気泳動を行い、野生型(WT)と変異型(mut)遺伝子のバンドの有無でMALE STERILITY 1の遺伝子型を判定する。Conは増幅確認のためのコントロールバンド。写真の例では、WT遺伝子を持たずmut遺伝子だけを持つ3レーンの系統が無花粉と判定されます。

お問い合わせ先

【研究推進責任者】
森林総合研究所 研究ディレクター 正木 隆
【研究担当者】
森林総合研究所 樹木分子遺伝研究領域 丸山 毅
【広報担当者】
森林総合研究所 広報普及科広報係
【取材等のお問い合わせ】
相談窓口(Q&A)E-mail:QandA@ffpri.affrc.go.jp
電話番号:029-829-8377(受付時間:平日9時30分~12時、13時~16時30分)

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所属課室:企画部広報普及科

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