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年輪が語る秋の気象と樹木成長との関係

2021年12月2日掲載

論文名

Geographical, climatological, and biological characteristics of tree radial growth response to autumn climate change(秋季の気候変動に対する樹木成長量応答の地理的、気候学的、および生物学的特性)

著者(所属)

鄭 峻介(森林管理研究領域)、小谷 亜由美(名古屋大学)、杉本 敦子(北海道大学)、永井 信(海洋研究開発機構)

掲載誌

Frontiers in Forests and Global Change、26、2021年8月 DOI:10.3389/ffgc.2021.687749(外部サイトへリンク)

内容紹介

樹木の成長は、一般的には前年夏から当年秋の気象の影響により変動し、その変動量には地域差が存在すると考えられます。春や夏の気象が樹木成長に与える影響については既に理解が深まってきました。しかし、秋の気象の影響はまだ十分に理解されていません。本研究では、樹木年輪生態学的手法を用いて(図1)、秋の気象と樹木成長の関係性を過去に遡って調べました。樹木年輪の国際データベース(ITRDB)を活用し、北半球の広域に渡る2167サイトの樹木成長量変動と秋の気温・降水量・雲量変動(全球気象データCRU TS 4.01から算出)との関係性について解析しました。その結果、秋の気温変動が樹木成長に与える影響についての顕著な地域差が明らかになり、影響が統計的に有意であった地域では、相対的に暖かい北緯40°以南において、前年の秋の気温が高いほど、当年の樹木成長量が減少する傾向が高いことが分かりました(図2)。また、すべての気象要素について、樹木成長量の年ごとの変動に与える影響の地域差は、樹種の違いよりも、地理学的(標高)・気候学的(気温・降水量・雲量の1901-2016年の平均値)特性に大きく左右されることも明らかになりました。本研究の成果は、北半球中高緯度地域における秋の気象と樹木成長の関係性を明らかにしたもので、将来の気候変動下での樹木動態の正確な理解を促し、持続的な森林の管理と利用に貢献します。

(本研究は、2021年8月にFrontiers in Forests and Global Changeにおいてオンライン公開されました。)

 

図1:樹木年輪生態学的手法の概要

図1: 樹木年輪生態学的手法の概要。成長錘で木の中心まで小さな穴をあけ、年輪コア試料を採取します。樹木の年輪には毎年の成長が刻まれているので(1組の早材と晩材で1年輪)、年輪幅の時系列データを解析すると、過去の樹木成長量の変動を推定できます。それを気象データなどと比較すると、気象と樹木成長量の関係を明らかにできます。

 

図2:前年秋の気温の樹木成長量への影響

図2: 前年秋の気温の樹木成長量への影響。青の丸は、前年秋の気温が高いほど、当年の樹木成長量が増加する傾向を、また、赤の丸は成長量が減少する傾向を示してる。本図では、解析に使用した2167サイトのうち、前年秋の気温の影響が統計的に有意であったサイトのみプロットしている。(記載論文の図を一部改変して使用)

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【研究推進責任者】
森林総合研究所 研究ディレクター 平田 泰雅
【研究担当者】
森林総合研究所 森林管理研究領域 鄭 峻介
【広報担当者】
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