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掲載日:2022年6月30日
九州(福岡、大分、熊本、宮崎、鹿児島)ではこの25年間、計140万頭に上るニホンジカ(以下シカ)の大規模な捕獲対策が行われてきましたが、調査範囲内の生息密度は低下傾向にないことが、新たな統計モデルを使った推定で分かりました。この間、生息可能な森林面積は大きく減っていないことから、生息数も減少傾向にないと推定できます。
これまで農林業に深刻な被害をもたらすシカを減らそうと、九州ではシカ捕獲数を年々増加させており、2014年には年間捕獲数が11万頭にまで達しています。九州各県では糞粒数に基づいてシカの生息密度を独自推計しています。本研究では、それらのデータを基に水産学の分野で新たに開発された統計モデルを用いて、1995年から2019年まで25年にわたる九州広域のシカ生息密度を推定しました。その結果、生息密度は増加あるいは減少といった特定の傾向はみられませんでした(図)。
今後は捕獲数だけに注目するのではなく、メスの重点的な捕獲など、生息数減により効果的な対策が必要になってくるでしょう。
(本研究は、2022年5月にForestsにおいて公表されました。)
図:25年にわたる九州のシカの生息密度指標と捕獲数の変化。25年間の平均生息密度を1とした時の相対値になります。
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