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掲載日:2023年2月13日
全国の市町村を対象に森林行政の実態をアンケートで調査したところ、担当者がスギ等をみても樹種が分からないと感じている市町村が回答の半数以上を占めました。人員不足を感じている市町村は8割を超えており、ここ数年、新規業務が追加されるなかで多くの森林行政担当者が知識や人員の不足を感じている現状が明らかになりました。
研究グループは2020年11~12月、民有林が1ヘクタール以上ある1,612市町村を対象にアンケート票を送り、856市町村から回答を得ました(回答率53%)。
その結果、森林行政の担当者が樹木をみても樹種が分からないと感じている市町村の割合は、スギやヒノキなどで53%、広葉樹では73%に上ることがわかりました(図1)。また、担当者が「森林・林業行政を担う人手が足りない」と感じている市町村は、81%と大部分を占めていました(図1)。今回のアンケート調査からは、2016年度以降、林地台帳制度や森林経営管理制度といった新たな業務の追加により、市町村の業務量が37%増えていると推定されました(図2)が、総務省の統計によると、この間の職員数の増加は4%にとどまっていました。今後、こうした市町村の森林行政担当者が実際に担いうる業務の量や質に応じた業務内容の見直しや支援体制の整備を図っていく必要があります。
(本研究は、2022年8月に日本森林学会誌において公表されました。)
図1:市町村の森林行政担当者が感じる知識や人員の不足。いずれの項目も、半数以上の市町村が「感じる」と回答しています。
図2:市町村の森林行政における業務別の担当人員。2020年現在の森林行政担当者は、市町村あたり平均2.09人いますが、そのうち0.56人分は2016年度以降に創設された制度の業務に充てられており、ここ数年で市町村の業務量が大幅に増加したと考えられます。
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