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西日本海岸域の20樹種、耐塩性をもとに分類

掲載日:2023年7月13日

西日本の海岸域でよくみられる20樹種の海水に対する強さ(耐塩性)を調べたところ、高木ではクロマツに匹敵する樹種がありませんでした(写真)。クスノキやカゴノキは海水に比較的強い高木でしたが、海岸林としては内陸寄りへの導入が適しており、やはり海岸林の前線にはクロマツを植栽する必要があると考えられました。南海トラフ地震などによる津波被害を抑える海岸林造成に向けた指針作りに役立つ成果です。

20樹種の苗木を海水に漬けた後、光合成の健全度や落葉、苗の枯死といった指標をもとに耐塩性を調べました。その結果、クロマツに次いで強かったのはシャリンバイやマサキなどの低木種でした。スダジイやハゼノキはアカマツと同様、弱いグループに分類されました(図)。

既存のクロマツ海岸林は管理不足やマツ材線虫病などで一部衰退していることから、手間のかからない広葉樹の導入が検討されています。しかし、耐塩性が評価されていない樹種が多く、どの樹種をどのような場所に植えるべきか科学的根拠をもとにした造成指針が不可欠です。

本研究は、森林立地において2023年6月に公開されました。)

写真:海水に漬けて枯れたハゼノキと、海水に漬けていない苗
写真:海水に漬けて枯れたハゼノキ(左)と、海水に漬けていない苗

図:耐塩性で分類された20樹種

図:耐塩性で分類された20樹種
海水に強い樹種から弱い樹種に3グループに分類された。高木種には*をつけた。

 

  • 論文名
    西日本の海岸林にみられる20樹種の海水浸漬処理による耐塩性比較
  • 著者名(所属)
    大谷 達也(四国支所)
  • 掲載誌
    森林立地、65(1)、3-12、森林立地学会、2023年6月 DOI:10.18922/jjfe.65.1_3(外部サイトへリンク)
  • 研究推進責任者
    研究ディレクター 玉井 幸治
  • 研究担当者
    四国支所 大谷 達也

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