ホーム 研究所紹介 お知らせ 研究内容紹介 刊行物 業務案内 データベース 法定公開情報 情報提供 サイトマップ
森林総合研究所
重点研究分野
研究領域紹介 プロジェクト紹介 最近の研究成果 国際研究協力
研究成果選集 研究報告 学術誌投稿論文

主要学術誌投稿論文(平成17年度)
    <21年度一覧へ> <20年度一覧へ> <19年度一覧へ>  
    <18年度一覧へ> <17年度一覧へ> <16年度一覧へ> <15年度一覧へ>

当所研究職員の投稿論文が各種学会誌へ掲載・発行されるタイミングを図って、迅速にその内容を分かりやすくまとめて、情報提供します。  (問い合わせ先:研究情報科、029-829-8130)



2006年
3月23日掲載
       小笠原の植物における花外蜜腺の役割
論 文 名 Loss of extrafloral nectary on an oceanic island plant and its consequences for herbivory.(海洋島固有植物の花外蜜腺の消失と対被食機能の重要性)
著者(所属) 杉浦真治(森林昆虫研究領域)、安部哲人(森林植生研究領域)、牧野俊一(森林昆虫研究領域)
掲 載 誌 American Journal of Botany(アメリカ植物学雑誌、米)、93巻3号、2006年3月
内容紹介 多くの植物は花以外の器官(花外蜜腺)からも蜜を出し、アリ等のボディーガードを誘って、植食性昆虫による食害を減らしている。小笠原諸島に分布するオオハマボウ(祖先種)とテリハハマボウ(固有種)で調べたところ、ガクに花外蜜腺のある前者ではアリが頻繁に訪れ、ガの幼虫による花芽の食害はほとんど見られなかったのに対し、花外蜜腺を失いつつある後者ではアリがほとんど訪れず食害率は高かった。アリは小笠原ではもともと少なく、テリハハマボウは進化の過程で花外蜜腺を失ったが、移入種のアリが増えた結果、オオハマボウと植食性昆虫との関係に変化が起きたと考えられる。

2006年
3月23日掲載
       降雨中に森林から大量の水が蒸発するメカニズム
論 文 名 A proposal for a new forest canopy interception mechanism: splash droplet evaporation(新しい樹冠遮断メカニズムの提唱:飛沫水滴蒸発)
著者(所属) 村上茂樹(気象環境研究領域)
掲 載 誌 Journal of Hydrology(水文学雑誌、オランダ)、319巻、2006年3月
内容紹介 森林の樹冠を通過し、地表面に到達する雨の量は裸地よりも2割程度少ない。これは降雨中に雨水の一部が樹冠から蒸発するためで、その量は雨が強いほど多くなることが知られている。今回、観測と計算を用いた解析によって未知であったこの現象について新しいメカニズムを提唱した。すなわち、雨滴が枝葉へ衝突すると半径数10μm以下の水しぶきが大量に発生して蒸発すること、雨が強いほど雨滴の大きさと数は増加し、発生する水しぶきの数と蒸発量も増加することを明らかにした。この成果は今後の森林の水循環に関する研究の進展につながるものと期待される。

2006年
3月23日掲載
       昼間採餌するコウモリの謎が解けた
論 文 名 Daytime feeding in an insectivorous bat(昆虫食性コウモリの昼間採食)
著者(所属) 平川浩文(北海道支所)
掲 載 誌 東洋蝙蝠研究所紀要(短報)、5号、2006年3月
内容紹介 コウモリ類の多くは夜行性であり、採餌も夜間であるといわれている。ところが札幌郊外の山中で2002年5月、日中快晴下で昼間採餌するコウモリ1頭を観察した。気象データの分析から、これに先立つ数日間夜間の気温が低く、十分な採餌ができなかったことが原因と推定された。アンケート調査により全国的に昼間飛行の観察例があることも判明し、その中で記録の明確な2003年9月青森八甲田の日中採餌の観察例でも同様の気象条件が示された。イギリスでは420の日中の飛行観察例を集めて分析した論文があり、状況証拠から採餌のためだと推測されていた。今回の観察と分析はこの推測を裏付ける結果となった。

2006年
2月15日掲載
       阿蘇のススキ草原は約1万年前から続いていた!
論 文 名 阿蘇カルデラ東方域のテフラ累層における最近約3万年間の植物珪酸体分析
著者(所属) 宮縁育夫(九州支所)、杉山真二(古環境研究所)
掲 載 誌 第四紀研究(日本第四紀学会誌)、45巻1号、2006年2月
内容紹介 阿蘇カルデラ東方域のテフラ(火山灰などの火山砕屑物)断面において植物珪酸体分析を行った結果、この地域は過去3万年間にわたってササなどの草原植生下にあったことが判明した。また、最近約1万年間はススキ属が優占する草原が継続してことがわかり、これには人為による火入れが関与していた可能性が示唆された。さらに、阿蘇火山周辺域では母材であるテフラの噴出量の多寡によって色調の異なる土壌が形成されることも明らかとなった。

2006年
2月15日掲載
       土壌の水分や養分の変動に対するスギとヒノキの生育反応を明らかにした
論 文 名 Effects of soil moisture and nitrogen on growth responses of Cryptomeria japonica and Chamaecyparis obtusa seedlings (スギとヒノキの成長反応に及ぼす土壌水分と土壌窒素の影響)
著者(所属) 長倉淳子、重永英年(立地環境研究領域)、赤間亮夫(林野庁)、高橋正通(立地環境研究領域)
掲 載 誌 Phyton(ファイトン、オーストリア)、45巻4号、2006年1月
内容紹介 降水量の変化や、窒素汚染(富栄養化)が森林に与える影響が危惧される。そのような環境変動が造林木へ与える影響を明らかにするため、土壌の窒素濃度と水分状態に対するスギとヒノキの苗木について生育応答を対比した。その結果、土壌の窒素が多いとスギの成長は増加したが、ヒノキの成長は低下した。土壌が強く乾燥するとスギの伸長は低下したが、ヒノキは影響をうけなかった。これらのことから、スギは窒素汚染が進んでも影響はうけにくいが、乾燥の影響はうけやすい。一方、ヒノキは乾燥の影響はうけにくいが、窒素汚染の影響はうけやすいことがわかった。

2006年
2月15日掲載
       極東ロシアにおける森林伐採は土壌のメタン吸収を低下させる
論 文 名 Effect of Deforestation on CH4 Uptake in Khabarovsk, Eastern Siberia, Russia(ロシアハバロフスクにおける森林伐採が土壌のメタン吸収におよぼす影響)
著者(所属) 森下智陽(立地環境研究領域)、波多野隆介、高橋邦秀(北海道大学)、L. Kondrashov(極東林業研究所)
掲 載 誌 Phyton(ファイトン、オーストリア)、45巻4号、2006年1月
内容紹介 森林土壌は地球温暖化ガスであるメタンを吸収するが、森林伐採はその吸収に影響を与える可能性がある。広大な森林面積をもつロシアでは、近年急速に森林伐採が進んでいる。そこでロシアハバロフスク近郊の天然林と伐採地におけるメタン吸収量を比較した。天然林の土壌はメタンを毎時63μgC/m2吸収するが、伐採跡地では5μgC/m2しか吸収しなかった。これは伐採後、樹木の吸水が停止して土壌が湿ったため、通気性が悪化して大気中のメタンを土壌が吸収しにくくなったことが原因と考えられる。

2006年
2月3日掲載
       ビャクシンの花粉アレルゲンはスギにも存在する
論 文 名 Characterization of genes for novel thaumatin-like proteins in Cryptomeria japonica (スギのソーマチン様タンパク質遺伝子の単離と発現特性の解明)
著者(所属) 二村典宏(生物工学研究領域)、谷尚樹、津村義彦(森林遺伝研究領域)、中嶋信美(環境研究所)、阪口雅弘(理化学研究所)、篠原健司(生物工学研究領域)
掲 載 誌 Tree Physiology (樹木生理学、カナダ)、26巻1号、2006年1月
内容紹介 最近、ビャクシンの新規花粉アレルゲンとして、ソーマチン様タンパク質が同定されている。これまで、スギでは2種類の主要アレルゲンが同定されているが、第3のアレルゲンとしてこのソーマチン様タンパク質を作る遺伝子を探索した。その結果、6種類の遺伝子を単離し、それらのゲノム内の配置特性や発現特性を調べた。このうち、1種類の遺伝子はスギの花粉で活発に働き、他の遺伝子と異なった染色体上に存在した。この遺伝子が作り出すタンパク質の配列は、他の5種類のものと類似性が低かった。このタンパク質は、スギの花粉アレルゲンとして働く可能性が高い。

2006年
2月3日掲載
       渓畔林の幅はどこまで必要か? −落葉散布推定モデルを開発−
論 文 名 モデルによる河畔域の落葉散布パターンの評価
著者(所属) 阿部俊夫(水土保全研究領域)、坂本知己(気象環境研究領域)、田中浩(森林植生研究領域)、延廣竜彦、壁谷直記(水土保全研究領域)、萩野裕章(気象環境研究領域)
掲 載 誌 応用生態工学、8巻2号、2006年1月
内容紹介 渓畔林は川の生態系に有益な機能を多く有する。なかでも、落葉は川の生物を支える重要なエネルギー源となっているため、供給源となる範囲を保全する必要がある。落葉供給源の特定には、落葉散布距離の解明が不可欠であるが、高さ15mと18mの樹木に関する観測では、落葉の90%が15m以内に落下していた。既存の種子散布モデルを改良し、風速や葉の落下速度、樹高などから落葉散布を計算したところ、観測結果をある程度再現できた。本研究により、落葉供給源として必要な渓畔林の幅が推定できるようになった。

2006年
2月3日掲載
       強い台風による森林被害が鳥たちにあたえた影響
論 文 名 The Effects of a Typhoon (9918 Bart, 1999) on the Bird Community in a Warm Temperate Forest, Southern Japan.(1999年の台風18号が南日本の暖帯林の鳥類群集に与えた影響)
著者(所属) 関 伸一(九州支所)
掲 載 誌 Ornithological Science(日本鳥学会英文誌)、第4巻2号、2005年11月
内容紹介 九州など西日本の照葉樹林は台風によりしばしば被害を受ける。このような、台風による森林環境の変化は、そこに棲む鳥たちにも強く影響すると考えられる。そこで、1999年に発生した強い台風18号の前と後とでは鳥の種類や個体数にどのような違いがあるのか、森林総研九州支所の立田山実験林で調査した。台風の強風により林冠の枝・葉・果実などが減少した結果、明るい林縁環境を好む鳥、昆虫食の鳥が増加する一方で、暗い林を好む鳥、果実食や種子食の鳥は減少傾向にある事が明らかになった。

2006年
1月16日掲載
       絶滅危惧種シデコブシの遺伝的多様性と分化を解明  −保全への応用に期待−
論 文 名 Genetic diversity and differentiation of the endangered Japanese endemic tree Magnolia stellata using nuclear and chloroplast microsatellite markers(絶滅が危惧される日本固有種シデコブシの遺伝的多様性と分化  −核と葉緑体のマイクロサテライトマーカーを用いて−)
著者(所属) 上野真義(森林遺伝研究領域)、鈴木節子(名古屋大学)、河原孝行(北海道支所)、吉丸博志(森林遺伝研究領域)
掲 載 誌 Conservation Genetics(保全遺伝学、ドイツ)、6巻4号、2005年7月
内容紹介 東海地方の里山低湿地のみに分布し、保全対策が急がれているシデコブシの地域集団をDNAレベルで比較するため、細胞内で由来の異なる核と葉緑体からマイクロサテライトマーカー遺伝子座の違いを解析した。両性遺伝を示す核については地理的距離と遺伝的距離との対応が見出される一方、母性遺伝由来の葉緑体では必ずしも同じ傾向にはならず、遺伝的多様性の地理的な分布パターンが集団ごとに異なった。シデコブシの保全復元の際には、核と葉緑体を両方とも考慮した類似集団を選択する必要があると考えられた。

2006年
1月5日掲載
       過去の土地利用が現在の森林を形作る仕組みを解読
論 文 名 Reciprocal distribution of two congeneric trees, Betula platyphylla var. japonica and Betula maximowicziana, in a landscape dominated by anthropogenic disturbances in northeastern Japan (人為撹乱が優占する北日本の景観における二種の同属種シラカンバとウダイカンバの交互的な分布について)
著者(所属) 大住克博(関西支所)
掲 載 誌 Journal of Biogeography(生物地理雑誌、英国)、32巻12号、2005年12月
内容紹介 近縁種であるシラカンバとウダイカンバの同じ地域内における分布パターンを調べた。両種は草地周辺、天然林伐採跡地に分かれて生育することが見出され、放牧地や天然林といった土地利用履歴に対応しているものと考えられた。これは火入れなどで頻繁に撹乱される草地周辺では繁殖開始齢が若いシラカンバが有利に生き残り、植生が安定し長い間隔を置いて更新機会が訪れる天然林では寿命の長いウダイカンバが有利に生き残った結果であると推測された。この研究により、二次的な景観での樹木種分布が、土地利用の影響と種特性の組み合わせで説明できる可能性が示され、人の活動が森林植生を規定する仕組みの解明が進んだ。

2006年
1月5日掲載
       スギ細根の土壌への有機物供給量を明らかにした
論 文 名 Estimating the production and mortality of fine roots in a Japanese cedar (Cryptomeria japonica D. Don) plantation using a minirhizotron technique(ミニライゾトロン法によるスギ人工林における細根の生産量と枯死量の推定)
著者(所属) 野口享太郎(立地環境研究領域)、阪田匡司(北海道支所)、溝口岳男(関西支所)、高橋正通(立地環境研究領域)
掲 載 誌 Journal of Forest Research(日本森林学会英文誌、日本)、10巻6号、2005年12月
内容紹介 樹木は地中に広く根を張り巡らせる。直径1-2mm以下の細根は樹木の養分吸収の役割を担うが、枯死脱落しやすく、枯死根は土壌へ有機物を供給する役割ももつ。スギの細根の伸長と枯死量を調べるため、土壌に透明チューブを埋設し1年間継続して観測した(ミニライゾトロン法)。その結果、細根の伸長は土壌の環境や季節の影響を強くうけ、地表付近で大きく、冬季よりも夏季に大きいことが分かった。また、1年間の細根枯死量は約300g/m2と推定され、土壌への主要な有機物供給源の一つと考えられた。

12月20日掲載
       森林土壌水の下方への移動量の簡易測定手法を開発
論 文 名 ポーラスプレート・テンションライシメータ法による土壌水の年移動量の測定
著者(所属) 釣田竜也、吉永秀一郎(立地環境研究領域)、阿部俊夫(水土保全研究領域)
掲 載 誌 土壌の物理性、101号、2005年11月
内容紹介 森林土壌中の水移動は河川の流出特性に関わる重要な要素であり、正確な測定技術の開発が望まれている。従来の測定法は電源のない林地では使えないことから、電源が不要なポーラスプレート・テンションライシメータ法(以下、PPTL法と呼ぶ)を開発した。PPTL法では土壌水の採水吸引圧を週一回手動で調整することで、その間の土壌水移動量を簡便に測定できる。このPPTL法を用いて林地斜面の上部、中部、下部において深さ90cmでの水移動量を1年間測定したところ、それぞれ275、608、601 mmであった。斜面中部と下部の値は調査地の年間の河川流出量(625mm)とほぼ等しく、PPTL法による土壌水の下方移動量の測定の正確さが検証された。

12月1日掲載
       乾シイタケのニオイの強さと好き嫌いの関係がわかった
論 文 名 The smell and odorous components of dried shiitake mushroom, Lentinula edodes II: Sensory Evaluation by Ordinary People(乾シイタケのニオイとニオイ成分(第2報)一般人による官能評価)
著者(所属) 平出政和(きのこ・微生物領域)、横山一郎(神奈川県立岩戸高等学校)、宮崎良文(樹木化学領域)
掲 載 誌 Journal of Wood Science (木材学会誌、日本)、51巻6号、2005年11月
内容紹介 食べ物の香りは好き嫌いに大きな影響を与えている。乾シイタケは独特のニオイを有しており、好き嫌いの一因となっている。そこで消費者の嗜好に合った乾シイタケ作出の一環として嗜好調査を行った。その結果、「好き」および「好きでも嫌いでもない」と答えた人には最適なニオイの強さ(感覚強度)が存在し、最適なニオイ成分量は、個人の「好み」の強さや年齢に伴って増加した。一方、「嫌い」と答えた人は年齢などに関係なくニオイの強さが増すほど不快感が増加した。これらの結果から、消費者の嗜好に合わせた乾シイタケを提供するには、ニオイが弱い物から強い物まで各種を提供し、それが選べるようにする必要があることがわかった。

11月24日掲載
       青変菌Ceratocystis polonicaがエゾマツを枯らすメカニズムを解明
論 文 名 Xylem dysfunction in Yezo spruce (Picea jezoensis) after inoculatioin with the blue-stain fungus Ceratocystis polonica (青変菌Ceratocystis polonicaを接種したエゾマツにおける木部通導阻害)
著者(所属) 黒田慶子(関西支所)
掲 載 誌 Forest Pathology(森林病理学雑誌、英)、35巻5号、2005年10月
内容紹介 トウヒ属樹木の枯死は北半球の多数の国の森林で問題となっている。その病原菌の接種実験により、エゾマツ樹幹で樹液上昇が急激に阻害されること、樹液流動の停止範囲は菌の分布域を超えて広範囲に広がることがわかった。青変菌への防御反応として樹木細胞で生産された物質が自らの組織内での樹液流動を阻害し、そのために枝や葉への水の供給が止まってしまうことが明らかになった。

11月24日掲載
       遺伝的に均一なクロマツを再生する
論 文 名 Somatic embryo production and plant regeneration of Japanese black pine (Pinus thunbergii). (クロマツの不定胚形成と植物体の再生)
著者(所属) 丸山エミリオ、細井佳久、石井克明(生物工学研究領域)
掲 載 誌 Journal of Forest Research(日本森林学会英文誌)、10巻5号、2005年10月
内容紹介 クロマツの未成熟種子胚から培養細胞を誘導・増殖させ、それらを効率的に不定胚(受精によらずに体細胞から生ずる胚、言わば種子の胚に相当する組織)に分化させる技術を開発した。さらに、この不定胚を発芽させ、正常なクロマツ苗木個体に再生させることにも成功した。この不定胚を経由した個体再生技術では、未成熟種子1個から遺伝的に均一な多数のクローン個体を短期間に得ることが可能である。また、クロマツの遺伝子組換えの基盤技術として、病害虫に強いクロマツ等の作出への応用も期待される。

11月2日掲載
       水辺林の保護と林業生産の両立へ向けて
論 文 名 水辺管理区域の現況とその保全が林業に及ぼす影響−岩手山周辺地域を事例として−
著者(所属) 久保山裕史(林業経営・政策領域)、西園朋広、大石康彦(東北支所)、粟屋善雄(森林管理領域)、古井戸宏通、天野智将(東北支所)、田中邦宏(関西支所)、横田康裕(国際農林水産業研究センター)
掲 載 誌 日本森林学会誌、87巻5号、2005年10月
内容紹介 欧米を中心として、多様な動植物や河川の水質保全には水辺林の保護が必要であることが指摘されている。そこで、河川や渓流の水際から一定幅にある林地等の利用を制限する水辺管理区域(RMZ:Riparian Management Zone)を設定した場合の地域の林業生産に及ぼす影響について、岩手山周辺地域を対象に分析した。RMZ幅を片側15mとすると、地域の森林の4%が該当した。森林所有者への影響を緩和するために小面積森林所有者の林分を規制対象から除外すると、私有林において保全されるべきRMZが断片化することが分かった。渓畔林保全のために断片化を避け、なおかつ施業制限に対する補償費用を軽減するためには、小面積森林所有林等においてはRMZの幅を小さくすることや、皆伐のみを制限の対象とする等の対策が考えられる。

10月25日掲載
       エノキタケ栽培劣化株の簡易判定法
論 文 名 Simple colorimetric method for detecting degenerate strains of the cultivated basidiomycete Flammulina velutipes (Enokitake). (栽培担子菌エノキタケの劣化株を簡単に検出する方法)
著者(所属) 馬替由美(きのこ・微生物研究領域)、赤羽弘文、中村公義(長野野菜花き試)、角田茂幸(長野農業総試)
掲 載 誌 Applied and Environmental Microbiology(応用・環境微生物学、米)、71巻10号、2005年10月
内容紹介 何らかの原因によって栽培きのこが子実体を作らなくなる劣化と呼ばれる現象は、きのこ産業にとって深刻な問題である。色素(ブロモチモールブルー;BTB)と乳糖を添加した液体培地(YBLB)でエノキタケ菌糸を培養したところ、正常な菌株はBTBを脱色して培地の色が黄色となる一方、劣化菌株は変色せず、簡単に劣化株を判別できることがわかった。このYBLB法によって正常、または劣化の判定を下した菌株を実際の栽培に供試したところ、子実体形成不全出現がYBLB法の結果を反映していた。この方法は、育種の際に子実体形成能の優秀な菌株を選抜することにも応用可能である。

10月12日掲載
       マツノマダラカミキリが運ぶ材線虫の数は蛹室壁の青変菌で決まる!
論 文 名 Effect of blue-stain fungi on the number of Bursaphelenchus xylophilus (Nematoda: Aphelenchoididae) carried by Monochamus alternatus (Coleoptera: Cerambycidae) (マツノマダラカミキリのマツノザイセンチュウ保持数に及ぼす青変菌の影響)
著者(所属) 前原紀敏(森林昆虫研究領域)、畑邦彦(鹿児島大学)、二井一禎(京都大学)
掲 載 誌 Nematology(線虫学、オランダ) 、7巻2号、2005年9月
内容紹介 マツノマダラカミキリが運ぶマツノザイセンチュウの数は、マツ材線虫病の被害程度を決める重要な要因である。この数がどうやって決まるかを探るために、アカマツ枯損木から羽化脱出してきたカミキリが持っている線虫数とその脱出後の蛹室における青変菌の繁殖との関係を調べた(青変菌はマツノザイセンチュウの餌となる)。その結果、青変菌の繁殖が良い蛹室から羽化脱出したカミキリは、繁殖が悪い蛹室から羽化したカミキリに比べて、多数の線虫を体内に保持していることが明らかとなった。このことは青変菌の繁殖を抑えることにより、カミキリが運ぶ線虫の数を制御する防除法開発のために重要な知見となる。

10月5日掲載
       廃棄物からの木質ボード製造 
            −複数の原料を混合した木質ボードの性能を予測する手法を開発−
論 文 名 解体材等からの低加工エレメントを用いたパーティクルボードの性能
著者(所属) 渋沢龍也(複合材料研究領域)、故 辻田一寛(東京ボード工業)、秦野恭典(複合材料研究領域)
掲 載 誌 木材工業、60巻9号、2005年9月
内容紹介 建築解体材などの低質な木質廃棄物の有効利用を目的として、破砕加工によって調製した小片を用いたパーティクルボードを製造し、原料の破砕条件、断面構成が強度性能に与える影響について検討し、性質の異なる原料を混合使用して製造する木質ボードの性能を予測する手法を提案した。この予測法を用いることで、原料の状態に応じた最適な製造条件を試行錯誤することなく決定できる。

9月26日掲載
       ヒタキがスギ林にタネをまく
論 文 名 針葉樹人工林におけるアカメガシワの種子散布者としての鳥類
著者(所属) 佐藤重穂、酒井敦(四国支所)
掲 載 誌 日本鳥学会誌、54巻1号、2005年9月
内容紹介 人工林伐採跡地の植生回復メカニズムを解明するために、伐採跡地での優占度がもっとも高い樹種であるアカメガシワの種子散布機構についてスギ人工林の林縁部に成育するアカメガシワ着果木を観察し、いつ、どのような種類の動物にどのくらいの頻度で食べられるか調べた。その結果、9〜11月に8種の鳥類がアカメガシワの種子を食べて糞とともに散布し、特にヒタキ類による散布が多かった。鳥類の行動圏の広さから、アカメガシワの種子散布範囲は数百m以内と考えられる。人工林の林縁部にアカメガシワが生育していれば、数百mの範囲内では人工林を伐採してもアカメガシワによる植生の回復が期待される。

9月14日掲載
       高CO2環境下におけるシラカンバの複合環境ストレスを解明
論 文 名 Elevated CO2 and limited nitrogen nutrition can restrict excitation energy dissipation in photosystem II of Japanese white birch (Betula platyphylla var. japonica) leaves(高CO2環境下での窒素欠乏によってシラカンバ葉でのエネルギー放散は抑制される)
著者(所属) 北尾光俊(北海道支所)、小池孝良(北大)、飛田博順、丸山温(北海道支所)
掲 載 誌 Physiologia Plantarum(植物生理、デンマーク)、125巻1号、2005年9月
内容紹介 将来的な高CO2環境下における樹木への複合的な環境ストレスの影響を予測するため、シラカンバをCO2濃度と窒素養分を変えて育成し、光合成特性を調べた。一般に窒素養分が不足すると植物は光阻害(葉が吸収した光エネルギーを使い切れず光合成阻害を起こす)を受け易くなる。本研究ではシラカンバは高CO2下において窒素養分が不足した場合でも過剰エネルギーを熱として放出することで光阻害をある程度回避できる一方、乾燥等の他のストレスが加わればその限りではなくなることを見出した。

9月9日掲載
       きのこの子実体形成機構の解明 
           −シイタケ子実体形成に関わる105個の遺伝子断片の単離に成功−
論 文 名 Molecular cloning of developmentally specific genes by representational difference analysis during the fruiting body formation in the basidiomycete Lentinula edodes(シイタケの子実体形成時に特異的な遺伝子群のクローニング)
著者(所属) 宮崎安将、中村雅哉、馬場崎勝彦(きのこ・微生物領域)
掲 載 誌 Fungal Genetics and Biology (菌類の遺伝学と生物学、米)、42巻6号、2005年6月
内容紹介 シイタケの子実体形成過程において特異的に発現する105個の遺伝子断片の単離に成功した。遺伝子データベースと照合した結果、これらは子実体形成に関与する遺伝子を含むことが分かった。約半数の遺伝子はデータベース上の遺伝子と類似性が全く認められず、シイタケなどきのこの子実体形成に特有の遺伝子であると考えられた。本報告は百個をこえる子実体形成時に働く遺伝子断片を単離解析した最初の例である。これらの遺伝子及び産物の機能を調べることにより、シイタケのみならずきのこ類の子実体形成のメカニズムの解明や新たな育種法・栽培法への応用が期待される。

9月5日掲載
       集成材からのアセトアルデヒドの発生原因の究明
論 文 名 Acetaldehyde emission from glued-laminated timber using phenol-resorcinol-formaldehyde resin adhesives with addition of ethanol(エタノール添加フェノール・レゾルシノール樹脂接着剤を用いた集成材からのアセトアルデヒド放散)
著者(所属) 塔村真一郎、宮本康太、井上明生(複合材料研究領域)
掲 載 誌 Journal of Wood Science(日本木材学会英文誌)、51巻4号、2005年8月
内容紹介 厚生労働省が室内濃度指針値を策定している化学物質のひとつであるアセトアルデヒドがある種の集成材から通常より多く放散されることがいくつかの文献で指摘されている。そこで、その発生原因を究明するため、集成材用接着剤のひとつである、レゾルシノール系接着剤からのアセトアルデヒド放散を調べた。その結果、接着剤自体からアセトアルデヒドが放散するわけではなく、接着剤中に含まれるエタノールと木材の相互作用により、アセトアルデヒドが生成することがわかった。

9月5日掲載
       樹木では樹幹に光合成産物を偏ることなく分配する仕組みがあった
論 文 名 Temporal photosynthetic carbon isotope signatures revealed in a tree ring through13CO2 pulse-labeling (13CO2パルスラベリングにより一時的に炭素同位体標識された光合成産物の年輪形成への利用)
著者(所属) 香川聡(木材特性領域)、杉本敦子(北海道大学地球環境科学)、山下香菜(木材特性領域)、安部久(国際農研)
掲 載 誌 Plant, Cell & Environment (植物、細胞および環境、英)、28巻7号、2005年7月
内容紹介 樹木が肥大成長するときに光合成産物がどのように配分されるか、その過程を解明するために、光合成産物が葉から幹へと輸送される経路について、スギの枝先から13CO2トレーサー(非放射性の炭素安定同位体)を取り込ませる方法で炭素が師部をどう流れるかを調べた。経路の季節的な変化を追跡したところ、標識したCO2を春(5月)に取り込ませたときには光合成産物は枝の鉛直直下右側に流れていたが、時間を経て検出されたものでは円周方向に経路がずれていき、秋(9月)に取り込ませたものでは、樹幹の約1/4周ずれた鉛直直下左側の位置で検出され、光合成産物の配分が樹幹の円周方向で偏りが少なくなるようコントロ−ルされていることがわかった。このために年輪はほぼ真円に近い形をしており、木材の材質は樹幹内の東西南北方向では大きく変わらないものと考えられる。

9月1日掲載
       ニホンジカがミヤコザサを食べることで土壌の養分環境が変わる
論 文 名 Effects of dwarf bamboo (Sasa nipponica) and deer (Cervus nippon centralis) on the chemical properties of soil and microbial biomass in a forest at Ohdaigahara, central Japan.(大台ヶ原の森林における土壌の化学性と微生物バイオマスにおよぼすミヤコザサ (Sasa nipponica)とニホンジカ (Cervus nippon centralis)の影響
著者(所属) 古澤仁美、日野輝明(関西支所)、金子真司、荒木 誠(立地環境研究領域)
掲 載 誌 森林総合研究所研究報告、4巻2号、157-165
内容紹介 奈良県大台ケ原では、ニホンジカによるミヤコザサの食害が植生のみならず土壌の養分状態にも影響しているのではないかと考えられている。そこでシカによるササの採食が土壌におよぼす影響を調べた。シカの採食でササ地上現存量が減少するとササによる土壌からの養分吸収が減少する。シカを入れた区域のササ地上現存量がシカを入れなかった区域の20%以下に減少した場合、土壌中の水溶性カルシウムやマグネシウムなどの養分濃度が1.4倍程度増加することが分かった。このことはシカがササを食べる結果として、カルシウムやマグネシウムなどの養分が雨とともに流亡する可能性があることを意味している。

8月29日掲載
       製材工場の大規模化が木材流通の地図を変える
論 文 名 製材品流通の地理的変化と製材業大手の供給戦略
著者(所属) 嶋瀬拓也(林業経営・政策研究領域)
掲 載 誌 林業経済、58巻5号、2005年8月
内容紹介 国内製材業の生産力配置の変化をみるため、1962年から2002年の県別製材品出荷量を分析した。(1)自県向け、三大都市圏向けが減り、その他の地域向けの割合が高まっている。(2)出荷量が多い県と少ない県に二分化しつつある。(3)出荷シェアが拡大した県では出荷先が広域化しつつある。この変化は、富山県・広島県・宮崎県など特定の地域に量産工場が集中しつつあることが理由と考えられた。製材工場の大規模化とその地域集中化が、製材品流通の地図を、特定地域からの広域流通という方向に変えつつある。

8月11日掲載
       丹沢ブナ林の遺伝構造をモデル化 -衰退するブナ保全に向けて-
論 文 名 Demographic genetics of Siebold’s beech (Fagaceae, Fagus crenata Blume) populations in the Tanzawa Mountains, central Honshu, Japan. II. Spatial differentiation and estimation of immigration rates using a stepping-stone structure(丹沢山地におけるブナの個体群統計遺伝学的解析 II.空間的遺伝構造と飛び石モデルによる移住率の推定)
著者(所属) 北村系子(北海道支所森林育成研究グループ)、舘田英典(九大理)、竹中宏平(農工大農)、古林賢恒(農工大農)、河野昭一(京大理)
掲 載 誌 Plant Species Biology(種生物学会、日本)、20巻2号、2005年8月
内容紹介 大気汚染やシカの食害によって衰退しつつある西丹沢地区のブナ林において、地域集団の遺伝的多様性を飛び石モデルによるシミュレーションにより調べた。本研究では地域集団を細分化した分集団単位で遺伝的多様性の比較を行った。その結果、分集団単位での遺伝子の交流は、ある分集団内では一世代あたり全変異の約9割、隣接する分集団同士では約1割あり、現存の集団が成立した時点ではブナ林の分断化や孤立化が発生するレベルではないことがわかった。しかし、シカの食害による天然更新阻害や大気汚染による成熟木枯死によってある分集団が消滅すると、遺伝子の交流が激減し孤立分断化を招くおそれがあると考えられた。

8月11日掲載
       木質材料の開発手法に新提案 -性能の明示は木質材料の普及に不可欠-
論 文 名 ニーズに基づく木質材料の研究戦略(III) 要求性能に関する検討
著者(所属) 渋沢龍也(複合材料研究領域)、名波直道(静岡大学農学部)、谷川信江(複合材料研究領域・日本学術振興会)
掲 載 誌 Journal of Timber Engineering(木質構造研究会、日本)、18巻4号、2005年7月
内容紹介 枠組壁工法建築物の木質材料(軸材料7種、面材料6種)について基礎物性値(材料を住宅の床・壁に使用した際に家具などの重量を支えたり地震・台風に抵抗するために必要となる強度や耐久性)に関するデータの蓄積状況調査を行った。その結果、面材料では初期の強度・弾性係数およびそれらの調整係数、接合部および施工性のデータが不足していることがわかった。新しい木質材料を普及していくためには不足している物性値の蓄積、蓄積につながる簡易測定法の開発を通して、保証可能な性能水準を基に使用可能部位、施工法の明示が重要である。

8月5日掲載
       成熟した人工林は豊かな種子の宝庫
論 文 名 A soil seed bank in a mature conifer plantation and establishment of seedlings after clear-cutting in southwest Japan (成熟した針葉樹人工林の埋土種子組成と伐採後の実生発生)
著者(所属) 酒井敦、佐藤重穂、酒井武、倉本惠生(四国支所)、田淵隆一(多摩森林科学園)
掲 載 誌 Journal of Forest Research(日本森林学会、日本)、10巻4号、2005年8月
内容紹介 成熟した針葉樹人工林の埋土種子相を把握し、その役割を評価するため、高知県内の75年生スギ・ヒノキ人工林を調査した。35個の土壌サンプル(1サンプルは30cm×20cm×深さ5cm)から67種、m2当たり1064個の種子が見つかった。種子の構成種は先駆樹種や草本種が多くを占め、総種数は常緑広葉樹林などの自然林よりも多かった。調査林分は広葉樹二次林に隣接していたため豊富な種子供給を受けていたと推測された。その林地で伐採1年目に実生調査したところ、種子が確認された種はほぼすべて発芽しており、埋土種子数が多い種よりも、伐採後の発芽率や成長の速い種(アカメガシワやベニバナボロギク)が優占していた。成熟した針葉樹人工林は条件により豊富な埋土種子相を持つことが明らかとなり、伐採後の地表被覆に貢献していることが実証された。

6月10日掲載
       山火事強度が高い山林が瀬戸内海地方に存在
論 文 名 日本で発生する山火事の強度の検討 ‐Rothermelの延焼速度予測モデルを用いたByramの火線強度の推定‐
著者(所属) 後藤義明(関西支所)、玉井幸治(九州支所)、深山貴文、小南裕志(関西支所)
掲 載 誌 日本森林学会誌、87巻3号、2005年6月
内容紹介 延焼速度予測モデルにより日本で発生する山火事の強度(単位時間当たりのエネルギー放出量)を推定したところ、多くの森林では850kW m-1以下であり、アメリカやカナダにおける山火事の強度の範囲内(10〜15,000kW m-1)にあった。ところが、瀬戸内海沿岸地方に分布し、コシダが密生するアカマツ林での強度は20,000 kW m-1以上に達していた。この値は、山火事が非常に多く、その強度も極めて高いと言われている地中海性気候下の森林植生に匹敵するものであった。両地域とも繰り返し山火事が起こることで、森林が発達しにくい状態にあると考えられる。

6月10日掲載
       樹木の根に群がる共生菌が荒れ地を救う!
論 文 名 Growth, nitrogen fixation and mineral acquisition of Alnus sieboldiana after inoculation of Frankia together with Gigaspora margarita and Pseudomonas putida(根粒菌フランキアを菌根菌ギガスポーラや根圏細菌シュードモナスとともに接種したオオバヤシャブシの成長、窒素固定および無機養分獲得)
著者(所属) 山中高史(森林微生物研究領域)、赤間亮夫(林野庁)、C.-Y. Li(米国・オレゴン州立大学)、岡部宏秋(森林微生物研究領域)
掲 載 誌 Journal of Forest Research(日本森林学会英文誌)、10巻1号、2005年2月
内容紹介 オオバヤシャブシは、2000年に噴火災害を起した三宅島の植生回復に大きく貢献することが期待されている。本種の根にはフランキア菌が共生し、根粒を形成する。根粒には、大気中の窒素を固定する働きがある。それが、本種が荒廃地でも良好に生育する主な要因である。今回、フランキア菌の他に、根圏にみられる菌根菌等をあわせてオオバヤシャブシの根に接種してみた。すると、栄養となる窒素分の供給に相乗的な効果をもたらし、菌を接種しないときに比べて、フランキア菌単独で4.0倍、菌根菌や根圏細菌を組み合わせると5.0倍の成長の向上が認められた。

5月24日掲載
       ヒラタケの子実体形成に関わる遺伝子を単離
論 文 名 Isolation of genes differentially expressed during the fruit body development of Pleurotus ostreatus by differential display of RAPD(differential display-RAPD法を利用したヒラタケの子実体形成時に特異的に発現する遺伝子の単離)
著者(所属) 砂川政英、馬替由美(きのこ・微生物研究領域)
掲 載 誌 FEMS Microbiology Letters(ヨーロッパ菌類速報誌、オランダ)、2005年5月(電子版に掲載)
内容紹介 ヒラタケの3段階の培養ステージ(菌糸、原基、子実体)のうち、原基と子実体で特異的に発現している4つの遺伝子の単離に成功した。さらに原基で特異的に発現している遺伝子の一つについて、アミノ酸配列データーベースにより検索したところ、カンジダ属のリパーゼと高い相同性を示していた。このことからこのリパーゼはヒラタケの子実体形成に関与する酵素のひとつであることがわかった。

5月16日掲載
       超臨界二酸化炭素処理で木材の水浸透性大幅改善、その機構を解明!
論 文 名 Improved water permeability of sugi heartwood by pretreatment with supercritical carbon dioxide(超臨界二酸化炭素前処理によるスギ心材の水浸透性改善)
著者(所属) 松永正弘、松永浩史、片岡厚、松井宏昭(木材改質研究領域)
掲 載 誌 Journal of Wood Science(日本木材学会英文誌、日本)、51巻2号、2005年4月
内容紹介 木材の防腐・防蟻等の機能性を向上させるためには、一般的に、薬剤を木材に注入する。その際、木材内部まで十分に薬剤を拡散浸透させることが重要である。今回、薬剤浸透を阻害する成分などを除去するために、40℃・120気圧の超臨界二酸化炭素で7時間スギ材を処理したところ、スギ心材は、未処理材と比較して約7倍もの水浸透性を示した。電子顕微鏡での観察により、その機構は仮道管同士を繋ぐ壁孔を塞いでいた沈着物質が取り除かれたため、と判明した。当処理法の薬剤浸透性向上効果が、これにより説明された。

5月16日掲載
       雑木林のササの刈り取りはゴミムシ類の種多様性を高めるか
論 文 名 森林総合研究所多摩試験地および東京都立桜ヶ丘公園のゴミムシ類群集と林床植生の管理
著者(所属) 松本和馬(多摩森林科学園)
掲 載 誌 環境動物昆虫学会誌、16巻1号、2005年4月
内容紹介 管理されなくなってササが繁茂している雑木林が里山に増え、生物の多様性が低下しているので、ササを刈り取るべきだとする意見が多い。林床性草本についてはその正しさが確かめられているが、昆虫についてはササを刈り取った現場で実際にそれを調査した例はない。生物多様性の評価に標準的に用いられているゴミムシ類で調査したところ、林床のササを刈って管理している雑木林よりも、ササが繁茂した林の方が、種数が多く、群集の種多様度は高いことがわかった。 これから、里山の生物的多様性の維持には画一的ではなく、ササを刈り取った林床と、ササを残した林床の併存が必要と考えられる。

5月16日掲載
       木材の化学構造の変化を知る−機能性木材の開発に新ツール!
論 文 名 Dielectric Relaxation Spectra of Chemically Treated Woods (化学処理木材の誘電緩和スペクトル)
著者(所属) 杉山真樹(木材改質研究領域)、則元京(同志社大学工学部)
掲 載 誌 Journal of Applied Polymer Science (応用高分子科学誌、米)、96巻1号、2005年4月
内容紹介 物質の電気的性質の一種である誘電緩和現象を用いれば、非破壊で材料の構造と物性の関係を知ることができる。本研究では、実用使用されている8種類の代表的な化学処理木材の誘電緩和現象を解析した。すると、ホルマール化やアセチル化により、吸湿に寄与する吸着サイトの減少度合いが変化したり、アセチル化で重量増加率が20%を越すと、それを境に分子運動のしやすさが大きく異なったりすることなどが明らかになった。これらの知見を元に、吸湿性や軟化性能をコントロールすれば、求める性能を持つ材料を得ることが可能と考えられる。

4月15日掲載
       ヒラタケの子実体形成活性物質を化学合成で確認
論 文 名 3-O-Alkyl-D-glucose derivatives induce fruit bodies of Pleurotus ostreatus.(アルキルグルコース誘導体は、ヒラタケの子実体を誘起する)
著者(所属) 馬替由美(きのこ・微生物研究領域)、西村健(木材改質研究領域)、大原誠資(樹木化学研究領域)
掲 載 誌 Mycological Research(菌類研究、英)、109巻3号、2005年3月(電子版)
内容紹介 これまでの研究から、ヒラタケが子実体を形成するのに有効な物質の化学構造は、ぶどう糖(グルコース)等に脂溶性基が付加した物質であると考えられた。この考えに基づき、アルキルグルコース誘導体(グルコースに炭素数の異なるいくつかのアルキル基を付加したもの)を合成し、それらのヒラタケ子実体形成活性をみた。すると、炭素数8と10のアルキル基を付加したグルコースに明らかな子実体形成効果がみられた。これは化学合成によって食用きのこの子実体形成活性を持つ物質を確認した世界初の例といえる。

4月15日掲載
       噴火から30年経った小笠原の無人島で定着・繁殖のみられる希少種の海鳥たち
論 文 名 小笠原諸島西之島の鳥類相
著者(所属) 川上和人(多摩森林科学園)、山本裕(日本野鳥の会)、堀越和夫(小笠原自然文化研究所)
掲 載 誌 Strix(日本野鳥の会)、23巻、2005年3月
内容紹介 小笠原諸島西之島は、1973年の噴火によりできた新島と旧島がつながってできた無人島である。噴火後の島の生物相の再生を解明するモデルケースとしてこの島の鳥類相のモニタリングを開始した。噴火約30年後の2004年の調査では、オナガミズナギドリ、アナドリ、クロアジサシ等8種の海鳥の繁殖の証拠が得られたが、噴火前に確認されていたアホウドリ類は確認されていない。繁殖が確認されたうち、オーストンウミツバメ、アオツラカツオドリ、オオアジサシはレッドリスト種であり、繁殖地としての保全を必要とする。