森林総合研究所 所報 bV4・2007-5
 
巻頭言

新しい森林総合研究所
理事    田野岡 章

田野岡理事  平成19年4月1日より、旧森林総合研究所と旧林木育種センターが統合し、新しい森林総合研究所としてスタートした。昨年9月には「100年先を見通した森林づくりと国産材の復活を目指して」新たな森林・林業基本計画が閣議決定された。国内では戦後に植林された人工林が伐期に近づき、世界の資源需給がタイトになり、地球温暖化防止や環境保全がクローズアップされるという社会的背景の追い風があるにせよ、森林・林業に携わる我々にとっては非常にエキサイティングな時期になったと思う。久しぶりに巡ってきたチャンスである。森林という奥の深いものが相手であり、課題、問題は尽きることはなく、これらに精力的に取り組みたい。
  私どもが担当する育種部門も課題が多い。育種部門の主役は品種の開発と普及であり、国産材を生産した跡地に我々の作ったものをどれだけ再植林してもらえるかである。新しい森林・林業基本計画における100年先を見通した森林づくりでは、「資源の循環利用林」、「水土保全林」、「森林と人との共生林」という役割区分をし、その手投として長伐期化、複層林化、広葉樹林化、針広混交林化なども行うとしている。このうち我々が関わることのできそうなものとして複層林化や広葉樹林化なども考えられるが、主役は木材生産を目的とするものであり、ユーザーの求める品質のものを、いかに早く作るかである。ユーザーの求める品質は何か。林木育種は長期の時間が必要とされているが、短縮する手段はないか。幸いなことに新しい森林総合研究所は森林・林業・木材産業の川上から川下までを包括的に扱う組織である。ユーザーの求める品質や育種期間の短縮など、我々が対処しようとしている多くの課題にとってプラスはあってもマイナスはない。プラスの部分をいかに早く実現させるかが我々の課題である。
  また、木材生産用の品種と複層林化・広葉樹林化などへの勢力投入割合をどうするか、林木遺伝資源の収集・保存をどこまで行うか、海外協力戦略をどう展開するか、など多くの課題もある。これらに対処するに際しては数値化などが判断材料となろう。これについても多くの知識と経験を有したパートナーが多数いることは心強い。


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