森林総合研究所 所報 bV5・2007-6
 
巻頭言

森林・林業・木材産業への貢献
理事  亀井 俊水

写真:亀井 理事  国産材に関心が集まっています。全国的に外材の輸入が不安定になってきていることが要因の一つといわれています。この春まで私が勤めていた北海道でも同様でした。特に昨年の秋以降、木材業界からの道産材への熱い視線が感じられました。中心は道内のカラマツです。もともと梱包用材など利用用途が限られてきたこともあり、価格が低かったカラマツですが、加工技術の進歩とともに合板や集成材へと用途が拡大し、材価も上ってきています。道内の人工林資源も利用時期に達している林分が多く、木材業界からの山元の供給側に対する期待には大きいものがあります。
  全国的に大型の集成材や合板工場が相次いで稼働し始めていることも、国産材に目が向けられる大きな要因です。こうした工場では当然のことながら、相応の原木の量を安定的に確保しなければなりません。需要側の体制が整備されつつあるなか、生産側も体制を確かなものにしなければ、国産材への需要は離れていってしまいます。高性能林業機械が当たり前のように使われる時代です。出材のロットをまとまりのあるものにして、低コストで生産するシステムを構築する努力が必要です。
  伐採の方法にも工夫が必要です。出材をまとめるにしても、従前のように一度に大面積の皆伐を行うことが良しとされる時代ではありません。環境への負荷を少なくしながら、低コストで生産する手法を常に考えておかなければなりません。
  さらに保全すべき森林と区別しながら、林業の対象となる森林をどのような森林にしていくのか改めて考えなければなりません。森林・林業基本計画に掲げられている多様な森林づくりを具体的にどうするかは、林業の現場で悩むところです。広葉樹林化にしても広葉樹なら何でもよいのか。これまでの林業生産では更新樹種は限られています。しかし生物多様性が求められる今日、期待に応えるとすればどのような樹種で構成された森林であればよいのか。またそうした森林が林業とどの程度調和ができるのか。さらに地球温暖化防止対策という重要な課題もあります。解決を必要とする様々な課題があります。
  森林総合研究所では既にミッションステートメントを出しています。森林、林業、木材産業に係わる研究を通じて循環型社会の形成に努め、人類の持続的な発展に寄与するとしています。今年の4月から林木育種センターと統合し新たな森林総合研究所となり、我が国最大の森林・林業・木材産業に係わる研究機関として様々な研究課題に取り組んでいます。地球規模での環境に対する問題が提起される中、国内の森林、林業、木材産業を取り巻く状況も変化しています。森林総合研究所はこれまで多くの研究成果を上げ評価を得てきていますが、今日的課題に対処するため、さらにその役割には大きなものがあると考えます。

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