森林総合研究所 所報 bV6・2007-7
 
巻頭言

「イノベーション25」に想う
総括審議役    高木 茂

高木 総括審議役  この頃、巷ではイノベーションばやりである。Googleで検索すれば何と8万3800件もヒットした。その冒頭は政府の「イノベーション25戦略会議」である。ご承知のように戦略会議で策定された長期戦略指針「イノベーション25」は6月1日に閣議決定された。今後はこれに盛られている課題に対してヒト・カネ・モノが重点配分されることになろう。私なりの解釈をお許しいただければ、今日本の社会を取り巻く閉塞状況を打破するためには技術立国の原点に立ち返って、一見不可能のようなものを可能にし、その成果を世界中に発信しグローバルに貢献する。これのツールがイノベーション25かと思われる。日本社会は今ある意味で「瀬戸際」にある訳で、我々は皆その意識に立たねばならない。
  そのイノベーション25をつらつら眺めるに、森林総合研究所にも関連するのではないかと思われる事項が、いくつか見られる。たとえば、木材等からバイオエタノールを高効率に製造できる技術の開発やバイオマス由来のプラスチックの製造コストの低減、国別の二酸化炭素排出インベントリの定量的評価・検証システムの構築等々である。これらは、たった20年後では実施不可能だ、夢物語だと果たして言えようか。今から20年前の1987年は、世界人口が50億人を突破した年だ。ファミコンやポケベルが大流行した年だ。それが今や人口は66億人。ファミコンもポケベルも「絶滅」して、Wiiやワンセグ携帯が繁栄を謳歌している。当時誰がこれらを予想し得たか。
  また、このイノベーション25にはこれからの政府研究開発投資に関する施策がにじみ出てもいる。1)若手研究者向けの競争的資金の拡充、2)女性研究者が出産・育児等で研究に支障を来さないような活動支援の強化、3)全競争的資金の間接費30%の早期実現などである。特に3)については研究開発型の独立行政法人にとって現実的な運営上必要不可欠の経費であろう。
  私は自称BOOKWORMなのだが、最近読んだ本の中で、カメが絶滅しようとする古代魚バルビーヨにこう言っている。『おまえにも、みんなと同じようにチャンスはあった。ずっと変化し続けるこの世界では進化するかしないかという選択の余地など無い。生き残るには進化するしかないのだ。』森林総合研究所がバルビーヨになってはならないし、なるべきでもない。そのためには関係者が皆イノベーション25をじっくり読まれ、その一つでも二つでも実現に向けて汗をかかなくては生き残れないのでは、とカメに言われたような想いがする次第である。


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