森林総合研究所 所報 bW0・2007-11
 
巻頭言

山歩きのススメ
監事  木下 紀喜

木下紀喜 監事  近年中高年層を中心とした登山、山歩きが盛んです。深田久弥氏の「日本100名山」がその火付け役となったようであるが、健康と娯楽、友達作りにも役立つ山歩きをする者は、団塊世代が定年を迎える今後も増加すると思われます。
  山歩きの楽しみは、普段人の行かない山頂に到達した時の達成感でしょう。自然を楽しみながら有酸素運動により内臓、筋肉を鍛える事から、山歩きは現代人の健康維持、体力増進に好ましいスポーツといえます。また森林浴効果によりストレス解消に役立ち、歩行中に接する樹木や草花は、知的好奇心をも満たしてくれます。次々と現れる森林や渓谷、美しい草花、季節ごとに変化する自然風景を目にしながら頂上に達し、周囲の山々を眼にすると、それまでの苦労は一瞬にして霧消し、快感を持った感動すら覚えることは山登りで良く体験するところです。
  山歩き人口の増加は、森林の所在する地域にとっても好ましいといえます。入山者に対して地域の産物やサービスの提供を通じて、山村の所得増大の機会が増えるし、都市部との交流の機会が増大します。山村住民が山を守っている姿を直接理解してもらえるし、これが、山村と森林の再生について国民の協力を得るきっかけにもなると思われます。
  そのために、里山地帯を含めた変化に富んだ山歩き用のコースを各地に整備することは、高齢化社会を迎えるわが国にとって有益な対策でしょう。しかし、山村住民の中には、心無い入山者のために沿線の産物が採られる、ゴミが捨てられる、斜面が荒れるといったことから、歩行者が自分の森林に立ち入る事に関しては、抵抗を感じる者が多いと思われます。歩道の管理については、現在、自然公園内や国有林内などでは明確となっているが、その以外の地区では、森林所有者の協力と自治体やNPOの努力とでかろうじて維持されているのが実情だからです。
  歩道周辺の環境を保全し、歩行者の安全性、快適性を確保するためには、歩道の管理についてのルール作りがどうしても必要です。そのためには、歩道周辺の環境を維持する事を前提にして、土地所有者は歩道用地を提供する、歩行者には通行を保障する、歩道の維持管理の責任者を定めて責任を持った管理を行う、国等はそれに必要な助成を行うといった法律的対策が必要となってきているように思われます。
  山好きの戯言と決め付けずに、森林の多面的利用の一環としてこれを研究してみる必要があるように思いますがいかがでしょうか。



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