森林総合研究所 所報 bW1・2007-12
 
報  告 公開講演会「木質バイオマスのトリプル活用化戦略」を開催
フィンランド森林研究所長一行が来所しMOUを締結
第1回有識者懇談会が開催される
バイオマス総合展2007に出展
「食のブランド・ニッポン2007」を開催
「子ども樹木博士」を開催


◇公開講演会「木質バイオマスのトリプル活用化戦略」を開催

 
  10月16日(火)に、「木質バイオマスのトリプル活用化戦略」と題して平成19年度独立行政法人森林総合研究所公開講演会を東京都千代田区のイイノホールで開催しました。
  2005年2月の京都議定書発効により、実効性の有る地球温暖化対策の実施が喫緊の課題となりました。「バイオマス・ニッポン総合戦略」では、地球温暖化対策としてバイオマス利活用の重要性が明確に位置づけられています。更に、「バイオマス・ニッポン総合戦略推進会議」が2007年2月に示した「国産バイオ燃料の大幅な生産拡大」工程表では、2030年頃までには600万kLのバイオエタノールの製造を目標と示しています。
  森林総合研究所では、この目標達成に向けて、未利用バイオマスとして850万立方メートル存在すると言われる林地残材の有効利用を進めるための研究を行っています。公開講演会では、これらの林業バイオマスを利用したエネルギー産業の成立条件、林地残材を効率よく収集・運搬するための機械開発とシステム設計、木材からバイオエタノールを製造し残渣となるリグニンを活用するための技術開発について話題を提供しました。
  続いて、3人の外部コメンテータから、製材所から出る木質バイオマスの利用が最も大切で優先されるべきこと、最近の廃材利用の事情と今後の林業バイオマスの重要性について、ベストミックス的な戦略や、分散したエネルギーのネットワーク化、エネルギー自給率の向上、経済性・エネルギー評価の重要性を指摘する発言をいただきました。
  講演後、話題提供を行った7名により総合討論を行ない、木質バイオマス利用を一層推進することの重要性について確認しました。
  また、ロビーにおいて、講演に関連したバイオマスの利活用についての研究成果をパネル展示しました。
  今年度の公開講演会には、一般の方をはじめ、行政、大学、民間会社、関係団体から331名の方々が参加いただき、成功裡に終わることができました。
公開講演会の様子1 公開講演会の様子2


◇フィンランド森林研究所長一行が来所しMOUを締結

  10月18日(木)に、フィンランド森林研究所のハンヌ・ライチオ所長一行が当所理事長を表敬訪問されました。当日は、今後の共同研究を推進するための議論が行われ、共同研究に関する「覚書」(MOU)を締結しました。研究情報の交換のみならず研究員の人的交流が期待されます。
  フィンランド森林研究所は、約800名の職員を擁するヨーロッパ最大の森林・林業・木材産業に関する研究機関です。
MOU締結


◇第1回有識者懇談会が開催される
  10月19日(金)に、森林総合研究所有識者懇談会が開催されました。現在、行政改革等関連会議において独立行政法人の在り方についての検討が進められている折でもあり、森林総合研究所の今後の在り方について、研究所OBで現在大学などでご活躍されている有識者の方々に貴重なご意見をいただきました。研究所からは、理事長をはじめ役員、研究コーディネータ、研究領域長などが大会議室に参集して、趣旨説明、研究所の現状、ロードマップ2050などが説明され、活発な意見交換が行われました。
  有識者の皆さんからは、古巣である森林総合研究所に対してエールを送るべく、時として「辛口」のアドバイスをいただきました。主なご意見は以下の通りです。

・広報に関するご意見
  「せっかくの研究成果をもっとPRすべき。誰を対象にするか、どこに出すのかをもっと明確にすべき。」、「世の中の人々に分かり易く説明するためには広報を外部委託すべき。」、「著名な格調の高い雑誌に研究成果が掲載されてこそ、研究所のPRになる。」
・研究に関するご意見
  「戦略的研究はトップダウン型だが、通常のボトム型研究とのバランスが重要。この意識の共有が必要。」、「成果主義に陥ることなく、長期的視点に立った研究も重視すべき。」、「世界の中での日本の役割、国際的意識・役割を持った研究を行うべき。」、「ヒトの観点から見た森林の研究が不足している。なぜ生物の多様性が必要なのかという世の中の問いに答えるべき。」

・人材育成に関するご意見
  「研究所の研究者・職員約800名が一人一人動かなくては真の成果は出ない。多くの分野をうまく繋げて総合化すれば、他の研究所がなし得ない世界を構築できる。」、「社会還元の一端として、研究成果を山に住んでいる人々のため、山に還元できるよう研究意識を持つ必要がある。」

出席された有識者の皆さん(50音順)
  井上真 東京大学教授、小林繁男 京都大学教授、佐々木惠彦 日本大学教授、高橋邦秀 北海道大学名誉教授、只木良也 名古屋大学名誉教授、中静透 東北大学教授、森川靖 早稲田大学教授、谷田貝光克 秋田県立大学教授


◇バイオマス総合展2007に出展
  10月24日(水)〜26日(金)に東京ビックサイトにおいて、60企業・団体の出展でバイオマス総合展が開催されました。森林総合研究所は、協賛団体となり、林地残材に代表される未利用な木質バイオマスの全体利活用を図るため、その収集・運搬と粉砕・乾燥、木質バイオマスからのエタノール製造、及びエタノール製造時の残渣となるリグニンからのバイオプラスチック製造に関する研究成果を展示しました。入場者数は、18,199名でした。 森林総合研究所ブースの様子
森林総合研究所ブースの様子


◇「食のブランド・ニッポン2007」を開催
  10月30日(火)にオークラフロンティアホテルつくばにおいて、農業・食品産業技術総合研究機構、水産総合研究センター、国際農林水産業研究センター、社団法人日本エスコフィエ協会及び当所が主催し、「世界に誇れる日本の食」をテーマに食のブランド・ニッポン2007が開催されました。
  記念講演「日本食と健康」では特別講演及び研究成果の紹介があり、引き続き試食&交流会が行われました。
  森林総合研究所からは、北海道、長野県、福岡県の協力を得て、食材としてエゾシカ肉、ヤマブシタケおよびヌメリスギタケを提供しました。
会場の様子
会場の様子
エゾシカ肉のステーキ 秋の味覚添え
森林総合研究所が提供した食材を使用した料理
エゾシカ肉のステーキ 秋の味覚添え


◇「子ども樹木博士」を開催
  11月3日(土)、紅葉に色づいた所内樹木園を会場に「子ども樹木博士」が開催されました。これは、子供たちに森林をとおして環境や自然科学などについて興味を持ってもらうことを目的に、樹木の名前をどれだけ正しく答えられたかに応じて段級を認定するもので、今年で8回目の開催になります。今回は、午前・午後の2回行い、付き添いの方を含め計42名の参加がありました。
  はじめに、講師と一緒に樹木園を歩きながら、出題される30種の樹木の特徴を聞いたり葉や実などを観察しました。その後、認定試験に挑戦し、正解数に応じた段級の子ども樹木博士認定証が授与されました。
  今回は計26名の子ども樹木博士が誕生しました。
樹木の葉を観察
樹木の葉を観察
試験に挑戦
試験に挑戦
 

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