森林総合研究所 所報 bW3・2008-2
 
巻頭言

森林総合研究所の一員となって
林木育種センター遺伝資源部長    近藤 禎二

近藤 林木育種センター遺伝資源部長  昨年の4月に林木育種センターは森林総合研究所と統合になり、いろいろな運営のやり方に戸惑った1年でしたが、特に印象に残ったのは、昨年7月に理事長主導で実施された産業技術総合研究所(産総研)の吉川弘之理事長の講演でした。研究というものを、発明や発見といった第1種基礎研究、それを技術として仕上げていく第2種基礎研究、そして製品化研究の3つに分け、産総研は第2種基礎研究を担うべきだが、これだけ取り出すのは難しいので産総研では他の2つの研究も加えながら研究を実施し、それが目指している「本格研究」であるとされました。第2種基礎研究は単なる応用研究でなく、さまざまな領域の知識を集め、新たな知識を作り出す大変なものであり、大学を出たばかりのドクターは狭い領域でしか暮らしていないので、産総研に入ったら第2種基礎研究を担当させ研究成果が社会にどう役立つかを想像させている、とさすがに東大総長、日本学術会議会長などの要職をお務めになっただけに、難しい話を分かりやすく、歯切れよくお話しされ、リーダーかくあるべしと感じました。
  さて、わが身を振り返ってみますと、林木育種センターでは社会的ニーズの高い花粉の少ないスギ品種を開発するなど、社会を出口とすることについては十分に認識しています。これは、研究を進めていく中で研究の必要性や成果の活用法などについてセンター内部の研究職以外の方からコメントをもらったり、調査の際に森林管理署や森林所有者の方々とふれ合ったりすることで、研究職、若手の一般職ともに育てられ、自然と身についてきたことによります。
  昨年暮れに、サイエンス誌のブレークスルーオブザイヤーに京都大学のヒトの皮膚から万能細胞を作ることに成功した研究が第2位に選ばれたことが報じられました。第1位は、千人以上のヒトの遺伝子の1塩基の違いを、病気の人と正常な人とのグループで比較することで病気の遺伝子を特定した、ヒトの遺伝的変異の研究でした。このように今まさに育種学、遺伝学、バイオテクノロジーの成果が人間生活に影響を与え、貢献できる時代になってきました。今回の統合を機に研究部門との連携を深くしていくことで森林総合研究所としての本格研究を目指していきます。


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