森林総合研究所 所報 bW4・2008-3
 
巻頭言

さらに前へ向かって
監事    林 良興

林 監事  森林総合研究所「所報」のルーツは、1964年(昭和39年) 8月に発刊された旧林業試験場報に始まる。林業振興の基盤である試験研究を社会的責任のもとに担っている試験場の活動内容を社会に向かってPRし、組織内部に向けては場員の意識と情報の共有を目的として発刊された。
  以来、44年、今回で524号を数える。この間、組織は林業試験場、森林総合研究所、(独)森林総合研究所と変わり、研究が求められる対象も地球規模の「森林・林業・木材産業」の問題へ拡大したが、森林総研と所報の本質・使命は変わらないばかりか、現今の社会情勢の元で一層の透明化と充実が求められている。所報は毎月、4,000部発行され、国内のほとんどの森林・林業・木材産業関係の官公庁・団体組織や企業等に配布されてきた。国外にも送られ、筆者にとっても、北京のJICAプロジェクトや木材関係団体の在勤時には貴重な情報源であった。
  所報は、新年度から現在の月刊冊子から、「一般向けの季刊広報誌」と「所内向けの電子ジャーナル」に改装予定である。新しい広報誌では、森林、林業、木材への国民の理解をさらに深めていくために、さまざまな特集を組みながら当所の研究および事業の成果をわかりやすく解説する計画である。当所のホームページへのアクセス数は年間290万件を超えており、所にとって重要な情報発信手段であるので、広報誌の全文を当所ホームページにても閲覧可能とする予定である。林業関係者ばかりでなく、環境問題への関心の高まりから、誰でもが自由にアクセスできる電子情報化によって、森林総研の研究活動に関わる情報の普及・理解は飛躍的に広がると期待される。それと共に、森林総研としては情報の一層の透明化と高品質化に心がけねばならない。
  さて、本年 4月からは、「(独)緑資源機構」の廃止に伴う業務の承継を森林総研が付託されることになった。それらの業務は粛々と実施しなければならないが、森林総研の根幹はあくまでも研究である。平成18年度の独法評価委員会林野分会において、当所の18年度業務実績に関して、スーパーAと評価された成果は3点ある。1)現行JAS、JIS制度の枠内で利用が限定されていたスギ材の建材としての技術開発を行い、新規の合板、集成材の規格を導入させ、スギの大規模な用途を開拓、2)ポプラ、スギ等の大規模な森林生物遺伝子データベース(Forest・GEN)を作成・公開、3)「森林吸収源計測・活用体制整備強化事業」・「森林インベントリ情報整備事業」により、森林吸収量算定・報告のための手法を確立し、日本の算定方法が世界で初めて公認されたことである。紙面の都合で詳細は省くけれども、これらは、いずれも課題化に当たって、極めて周到な戦略的検討を経た研究課題である。個々の研究者の発想だけでなく、課題化に際して戦略的観点から検討して課題の組み立てを行うことが良い結果を生むために大変重要であり、最近、当所が作成した「森林を育て、有効活用するための研究開発ロードマップ・2050年の森」に沿って、全力を挙げて研究所のミッションに取り組むことが肝要である。


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