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更新日:2022年3月11日
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雪の中を歩くニホンジカ
学名:Cervusnippon
ニホンジカは鯨偶蹄目シカ科に属す哺乳動物で、種としては日本を含む東アジアに分布し、ロシア沿海州、中国、ベトナムなどに生息します。日本国内では、北海道のエゾシカ、本州のホンシュウジカ、四国と九州のキュウシュウジカ、対馬のツシマジカ、屋久島のヤクシカ、馬毛島のマゲジカ、慶良間諸島のケラマジカの7亜種に区分されます。北方に生息する亜種ほど体が大きく、エゾシカは雄の体重が約140kgになりますが、ヤクシカでは約40kgです。四国に生息するものは亜種キュウシュウジカとされていて、約70kgと中型です。
頭の角は雄だけにあり、毎年生え変わります。角は4月頃に抜け落ちますが、その後、新しい角が生え、繁殖期となる10月頃には立派な姿になります。
ニホンジカは森林や草原に生息し、草本類、ササ類、木の葉、堅果、樹皮などを食べます。基本的に雌雄別々に群れをつくりますが、餌場では雌雄がいっしょになることもあります。秋に交尾をして、妊娠した雌は初夏に出産します。雌の群れは母系集団で、雄のこどもは生後1-2年で母親のいる群れから離れますが、雌のこどもは群れに残ります。
近年では、全国的にニホンジカの密度の増加と分布域の拡大がみられています。ニホンジカの増加した地域では、過度な採食によって、天然林でも人工林でも植生が衰退して、有毒植物を除く多くの植物種が食べつくされてしまう場所もあります。人工林では特に若齢造林地での食害が顕著となる場合が多くみられます。ニホンジカの個体数を調整する個体群管理とともに、防鹿柵の設置と適切な維持管理などの対策を施す必要があります。
本記事公開日:2021年3月8日
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