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更新日:2023年1月24日
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ヤブツバキ(ツバキ科)
CamelliajaponicaL.
暖温帯に生育する常緑広葉樹で、冬に赤い花を咲かせます。国内での分布は本州、四国、九州、南西諸島で、おもに太平洋側の地域に生育しています。海外では中国、朝鮮半島、台湾などに生育しています。なお、本州の日本海側の地域には近縁種であるユキツバキが分布します。
ヤブツバキは樹高10m前後になり、照葉樹林帯のシイ・カシ林やタブ林などに混生しているのが多く見られます。四国では海岸沿いや平地から低山にかけて、広く生育しています。
花期は1月から4月頃で、5枚の花びらを持つ離弁花ですが、花びらと雄しべの基部の花糸と呼ばれる部分が合着しているため、花が終わると花びらがばらばらに落ちることなく、花の形を保ったまま地面に落下します。この様子が、首が落ちることを連想させることから、病気の人への見舞いの品にツバキの花を持って行くのはタブーとされています。
秋に丸い果実が熟すと三つに裂けて、中から黒い種子が出てきます。この種子には脂分が多く含まれ、椿油として利用されます。また、材は固く緻密で均質なため、工芸品や細工物などに適しており、印鑑、櫛、将棋の駒などに使われます。
園芸植物として栽培されるツバキは、ヤブツバキを原種として品種改良されたものです(ユキツバキと交配されたものもあります)。17世紀にツバキが日本から西洋へ紹介されて、欧米でも園芸用として多くの品種が作られて、愛好されています。歌劇「椿姫」ではヒロインの好きな花とされています。
2023年1月21日高知県土佐清水市足摺岬にて撮影
(写真と文:佐藤重穂)
本記事公開日:2023年1月24日
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