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更新日:2010年6月1日

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自然探訪2007年11月 トガサワラ

トガサワラ(Pseudotsuga japonica (Shirasawa) Beissner)

現在、北米大陸から日本に輸入される原木の約75%が「米松(ベイマツ)」と呼ばれる木材である。この「米松」、確かにマツ科樹木ではあるが、いわゆる松、アカマツ、クロマツなどと同じマツ属(Pinus)に属する樹木ではない。米松は、同じマツ科でも、トガサワラ属(Pseudotsuga)に属するダグラスファー(Douglas-fir、Pseudotsuga menziesii var. menziesii)と呼ばれる樹木である。ダグラスファーは、北米大陸西海岸の温帯性降雨林に生育する樹木で、そのサイズは胸高直径が5m樹高で100mにも及ぶとされ、ツガやトウヒ、ネズコの仲間と共に巨木林を形成する(写真1)。このトガサワラ属の樹木は、全世界で、北米に2種、アジアに2種分布するに過ぎない。太平洋を挟んで分布する遺存的な針葉樹である。実はその1種が日本に分布している。日本固有樹種トガサワラである(写真2)。トガサワラは紀伊半島、四国山地に局所的に分布するがまとまった林分は存在しない。もっとも大きな集団は、三重県熊野市の大又国有林にある「トガサワラ植物群落保護林」とみられる。トガサワラのサイズは、ダグラスファーに遠く及ばず胸高直径が1m(1.90mという記録もある)、樹高で30m程度である。急峻で不安定な斜面に成育し、容易に近づけない。

トガサワラの和名の由来は、外形(樹皮)はトガ(ツガ)に、材はサワラに似るところから来ている。一方、属名のPseudotsugaは、Pseudo つまり「偽りの」ツガという意味がある。しかし、見た目、サワラの親戚とは見えない。樹皮は暗褐色で、太目の枝を張り出し、その枝はたわみ、奇妙に捻じ曲がる(写真3)。まるで戦い破れ、崖っぷちに立ち、何事かを強く決意する武将の面持ちである。絶滅危惧II類(VU)で、個体数は1000本程度とされている。

写真1:トガサワラ
写真1


写真2:トガサワラ
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写真3:トガサワラ
写真3

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