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更新日:2010年6月1日

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自然探訪2007年6月 ユビソヤナギ

ユビソヤナギ(Salix hukaoana Kimura)

5月下旬、融雪洪水が収まり、水が引いた川原にヤナギの種子が綿毛に包まれて漂う。こうしたヤナギの仲間にユビソヤナギがある。ユビソヤナギは1972年に群馬県水上町の谷川岳直下を流れる湯檜曽川で地元の教師深尾重光氏により発見され、東北大学の木村有香博士により分類同定された高木性ヤナギである。当初、湯檜曽川にのみ分布するものと思われたが、その後、東北各地の河川上流部に次々と発見され、最近でも福島県の伊那川(2003年)や山形県の東大鳥川(2006年)などで自生地の存在が確認されている。しかし、その地理的分布は隔離的で、集団の規模も小さい希少樹種であり、加えて近年の河川改修など自生地の改変により、その存在が脅かされ、現在、環境省のレッドデータリストで絶滅危惧I.b類に位置づけられている。なぜ、このユビソヤナギの発見が遅れ、また、新たな自生地の発見が相次いでいるのだろうか?その理由の一つに、同所的に分布するオノエヤナギの存在がある。困ったことに両種は一見すると極めて類似している。決定的な違いは、ユビソヤナギは2本の雄ずいが合着し1本に見えることや内樹皮が鮮やかな黄色であることである。ユビソヤナギはオノエヤナギに紛れ込んでいたという訳である。

ユビソヤナギ

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