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更新日:2010年6月1日

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自然探訪2007年7月 ヤマボウシ・ミズキ

ヤマボウシ(Cornus kousa)・ミズキ(C. controversa

春を告げる庭園樹木、街路樹としてハナミズキ(Cornus florida)がある。ハナミズキの原産地は北米大陸でDogwoodと呼ばれる。そして遅れることニヶ月、梅雨に先駆け、日本の自生種で、同属近縁種のヤマボウシ(C. kousa)の白い花が濃い緑の樹冠を被うように咲き乱れる。しかし、この大きな花の花弁と見られるもの、実は総包片と呼ばれる葉的器官で、花弁に代わって訪花昆虫を強力に誘引する。総包の中に50個前後の小花をつけ、後にピンク色の果実となって成熟する。両種ともミズキ科ミズキ属ハナミズキ亜属に属するが、同属に属するミズキ(C. controversa)やクマノミズキ(C. macrophylla)とは趣を異にする。ミズキなどに総包は見られず、花序に多数の小さな花をつけて存在をアピールする。受粉を助ける訪花昆虫を誘う形態的な分化といったところである。近年の分類では、こうした形態的な違いを考慮し、属を分ける考え方もある。この他、ミズキ属に属する植物に、亜高山帯の針葉樹林下に生育する草本種のゴゼンタチバナ(C. canadensis)がある。こちらは樹木の道を外れ、林床にひっそりと咲いているが、その形態はヤマボウシに酷似する。ヤマボウシは、北海道を除く日本をはじめ、朝鮮半島、中国大陸、台湾など極東アジアに広く分布する。台湾の北部東海岸では個体数が少ない絶滅危惧種であるが、韓国済州島のハンラ山の中腹には、梅雨時、白い絨毯を敷き詰めたように咲き乱れる。樹冠表面に花が密生して咲くことから、高みから愛でる樹木かもしれない。

ヤマボウシ
ヤマボウシ Cornus kousa Buerg

 

ミズキ
ミズキ C. controversa

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