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更新日:2010年6月1日

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自然探訪2008年4月 コクワガタの幼虫、ヨコヅナサシガメの幼虫

コクワガタの産卵マークと材内幼虫

コクワガタDorcus (Macrodorcus) rectus Motschulskyはコウチュウ目クワガタムシ科に属する昆虫で、都会の近くにも生息し、日本で最もなじみ深いクワガタムシの一つである。分布は東アジアで日本ではトカラ列島以北、北海道まで生息している。クワガタムシ類は腐朽木食であるが材部が白く腐れている所を好むオオクワガタやヒラタクワガタ、赤く腐れた所を好むネブトクワガタ、ツヤハダクワガタやマダラクワガタ、黒く腐れた所を好むスジクワガタがいる。しかし、コクワガタはかなりいいかげんである。白色腐朽部や黒色腐朽部どちらからでも幼虫、成虫が見つかる。ただ、どちらかといえば黒色腐朽部の硬い部分と柔らかい部分の境目あたりに多い。低地から高地、そして、倒木、立ち枯れ木、腐朽木の根部など腐朽した材部はどこでも食べるため、他のクワガタと比べて、どこでも普通に見られるのである。クワガタムシ類は産卵するときに雌成虫が材に円形や半円形の傷をつけ、その中央部に穴をあけ、そこに産卵する。これは産卵マークと呼ばれ、孵化した幼虫が材を食べやすくするためと考えられている。写真はシイタケほだ木に付けられた産卵マークで直径は約1cmである。このような材を割ると内部に写真のように幼虫がいる。写真は2008年3月15日につくば市で撮影した。

写真:コクワガタの産卵マーク(写真上)と材内幼虫(写真下)

日光浴をしているヨコヅナサシガメの幼虫

ヨコヅナサシガメAgriosphodrus dorhni (Signoret)はカメムシ目サシガメ科に属する昆虫である。分布は中部以南の本州、四国、九州;中国、東南アジア。写真のヨコヅナサシガメは5齢幼虫で体長15mm、成虫では16~24mmである。神社や公園などの人里近くのサクラやエノキの樹幹部から、よく見つかる。多くの昆虫やクモ類を捕食するが、行動は緩慢である。鈍い動きで餌を捕ることができるのは、体色が生息している木の幹と同じ色でカモフラージュの役目を果たし、餌である昆虫やクモがこのカメムシに気付かず近寄ることによると推定される。越冬は幼虫態で行い、サクラの樹洞や樹皮の割れ目で集団越冬する。写真を撮影した3月15日は日差しも強くて暖かかったので、越冬幼虫が日光浴に出てきていた。しかし、陽がかげると樹洞内に戻っていった。最近、分布域が東に拡がっているが、これは造園業者によるサクラの移動が大きいと思われる。最近の傾向として、分布拡大をすぐに温暖化のせいにするのは早計であろう。写真はつくば市で、サクラの一品種カンザンの樹幹にいたヨコヅナサシガメを撮ったものである。

写真:日光浴をしているヨコヅナサシガメの幼虫

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