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更新日:2010年6月1日

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自然探訪2008年5月 スギカミキリ

スギの害虫、スギカミキリ

スギカミキリSemanotus japonicus Lacordaireは日本において、スギ・ヒノキ穿孔性害虫として最も著名な昆虫である。被害は九州北部から四国、本州まで広く発生しているが低地に限られている。スギカミキリの加害樹種はスギ、ヒノキ、サワラ、アスナロなどである。そして、これらの樹種は冷涼な地が天然分布地であり、スギカミキリに特に好まれているスギの天然分布の中心は、もっとも寒い月の平均気温が-2~4℃、もっとも暖かい月の平均気温が20~25℃、年平均気温10~14℃で年平均降水量2000mm以上の多雨地域である。そして、天然分布の中心地である秋田県阿仁町のスギ林ではスギカミキリの被害を探すのが大変である。スギカミキリは元気で樹勢のあるスギに産卵した場合、卵から孵化した大半の幼虫は樹脂(ヤニ)に巻かれて死んでしまう。そのため、食樹の天然分布地ではつつましやかな生活を営む穿孔性昆虫なのである。戦後の一斉造林事業により、スギの適地でない地域へ大規模に植林したため、樹勢が悪く、樹脂の出が遅いスギが増えたことが被害の増えた原因である。さらに、マツ材線虫病の被害拡大に伴って、マツが枯れた跡地にスギ、ヒノキを植えていく政策も、茨城県で見る限り、不適地にスギ、ヒノキを植え、樹勢の悪い木を増やし、スギカミキリの増加を助長させたように思える。このようにスギカミキリは人間が作り出した林業害虫ともいえるのである。しかし、スギカミキリの発生時期はソメイヨシノの開花時期にあたり、春の代表的な昆虫である。

写真1の枝が枯れたスギはスギカミキリの2008年の新脱出孔が約30個あり、全体的に葉の色が悪い。写真2はスギの割れ目に頭を下にして潜むスギカミキリ雄成虫で、奥に雌成虫もいる。写真3は割れ目より出てきたスギカミキリ成虫、上が雌(23mm)、下が雄(18mm)である。撮影はつくば市内で2008年4月4日。

写真1
写真1

写真2
写真2

写真3
写真3

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