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更新日:2010年6月1日

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自然探訪2008年6月 親になったオオコクヌスト、親になったヨコヅナサシガメ

親になったオオコクヌスト

オオコクヌストTrogossita japonica Reitterの幼虫は2月の自然探訪で紹介した。その撮影時期から4ヵ月が経過した2008年5月7日、オオコクヌストの成虫がスギ、マツ丸太の間を飛び回っていた。気温が高く、茨城県古河市で30℃以上を記録し、撮影したつくば市でも27℃以上であった。通常、この時期は昼間、針葉樹の樹皮下に潜んでいるが、このように気温が高いと活発に歩き回ったり、飛び回ったりする。成虫も幼虫同様捕食者で樹皮下にいる昆虫の幼虫やクモ類を食べるが、ヒメスギカミキリやシラホシゾウムシ類の成虫も強い顎で噛み砕いて食べてしまう。写真撮影は気温が高いため、オオコクヌスト成虫の動きが早く、困難を極めたがスギ樹皮裏にとまり、休んだ個体を見つけ撮影した。体長は17mmである。

写真:親になったオオコクヌスト

親になったヨコヅナサシガメ

4月の自然探訪で紹介したヨコヅナサシガメAgriosphodrus dorhni (Signoret)の幼虫も写真撮影から2ヶ月経過して親になった。実はこのカメムシはエーリアン(侵入種)である。このヨコヅナサシガメが日本で知られるようになったのは戦後のことであった。カメムシの研究者として著名な長谷川仁氏が佐賀県産の幼虫を飼育して得た成虫をAgriosphodrus dorhniと同定、1949年発行の「新昆虫」に発表したのが世間に知られるようになった最初である。しかし、現在では1928年に進士織平氏がMilya (Milyasの間違い)zebraとして記録した種が本種だとされており、少なくとも大正期には九州地方に侵入していたと推定されている。本種は1990年代以降、急速に分布を拡大して関東地方まで分布域を延ばしてきている。本来、東南アジアを主産地とする熱帯系の昆虫であるが、茨城県でも越冬できるのは、冬季の低温に強いものと考えられる。幼虫が冬季、サクラの樹皮の裂け目などで集団越冬する性質があるため、緑化木の移動頻度が高まっている昨近、分布拡大が促進されている感がある。しかし、大型の捕食者であるこのサシガメの侵出により、新たな侵入地の生態系が乱されることが懸念される。撮影地はつくば市でサシガメの体長は24mmである。

写真:親になったヨコヅナサシガメ

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