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更新日:2010年6月1日

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自然探訪2008年8月 ネムノキ 夏を告げる南方風の花

ネムノキ(Albizzia julibrissin

梅雨明けのまばゆい陽光の下、最初に咲き誇る樹の花はネムノキである。ネムノキ(合歓木:Albizzia julibrissin)は、マメ科ネムノキ属に属する落葉高木で、青森県以南の日本列島に広く分布する。幹の太さは、30cm、樹高は10m以上になる。日本の夏を代表する樹木の花には、サルスベリ(シマサルスベリ)もあるが、こちらは花期も長く、蝉の鳴き声と共にいかにも暑苦しい。一方、ネムノキは樹体の割には樹冠が広く、羽状複葉で葉量が多く感じられ、枝も柔らかく、風に揺れて涼しげである(写真1)。しかし、その花の風体は、日本の樹木の花とは思えないほど、派手である。事実、ネムノキは中国大陸、南アジアに広く分布し、日本へは南方から進出してきたものと考えられている。日本列島に見られるマメ科植物の花の多くは、フジのように花冠が左右対称の 蝶形( ちょうけい)で異なる形状の花弁(旗弁(きべん)、翼弁(よくべん)、竜骨弁(りゅうこつべん))からなる、より進化した構造を持つが、ネムノキは違う。花は枝先にかたまって付ける(頭状花序を総状につける)。この花序には10~20個の花をつけるが、花弁は小さな淡緑色の筒状のもので、全く目立たない。花を彩るのは、じつは3.5cmもある長い多数(25~30本)のおしべで、先端部が鮮やかなピンク色を呈し、おしべを広げた花が緑の絨毯の様な葉群の上で風に揺れる(写真2)。ネムノキの名の由来は、夕刻になると対生する小葉が閉じて眠っているように見えるところから来ている(就眠運動と呼ばれる)。一方、花は夕方に開花するというが、昼間に閉じることはない。花は花序の下部から順次咲いてゆくので、ネムノキの花期は長い。

ネムノキは一般に河岸など湿性で開放的な環境に見ることが出来る。しかし、近年、高速道路の法面付近に多くを見る。ネムノキは、街路樹などとしても広く植えられているが、高速道路の周辺に植えたと言う話は聞いたことがない。ならば、道路の法面は、河川撹乱により形成されるネムノキにとって好適な環境を、人為的に作り出しているかもしれない。高知県の四万十川流域を旅行していた時、とある店で「コウカ」のまな板を見つけた。「コウカ」とは何ぞや?店の人に聞いても、要領を得ない。後で、コウカが「合歓」であることを知った。確かに、ネムノキはまな板として使われている。 

写真1
写真1

写真2
写真2

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