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更新日:2010年7月1日

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自然探訪2009年6月 セミタケと、きのこを作る虫生菌

セミタケと、きのこを作る虫生菌

毎年6月末になると、大きな子実体を作る派手な昆虫寄生菌が見られるので、菌探しの愛好家には楽しい季節になってきます。写真1はその代表で、ニイニイゼミの幼虫に寄生するセミタケ(Ophiocordyceps sobolifera)という冬虫夏草類の一種です。冬虫夏草という名前は、昔、中国で、冬には虫であったものが夏になると草になると考えられていたことに由来します。もちろん、これは虫が草に変化したわけではなく、虫に菌が寄生して子実体を伸ばすためにそちらの方が目立つだけなのですが、当時の中国では、万物は陰陽二気のバランスに支配され、そのバランスが崩れることで病気が起こると考えられていたので、虫(陽)と草(陰)の両要素を持つ冬虫夏草は、霊験あらたかなものとして珍重されたのです。実際には、冬虫夏草類とは、子のう菌門のうちCordyceps属(ノムシタケ属)と呼ばれていた菌類です。最近の系統分類ではこの属をさらにOphiocordycepsMetacordyceps等に細分していますが、日本語の「冬虫夏草類」は旧Cordyceps属の総称として使います。この仲間は約300種が知られていて、ほとんどが昆虫やクモに寄生しますが、中には菌や高等植物に寄生する種類もあります。

この時期には、冬虫夏草以外にも写真のような虫生の不完全菌類のきのこもよく見られます。写真2はクモに寄生するクモタケ(Nomuraea atypicola)、写真3はオサムシの幼虫や成虫に寄生するオサムシタケ(Tilachlidiopsis nigra)、写真4はセミの幼虫に寄生するツクツクボウシタケ(Isaria cicadae)で、いずれも冬虫夏草に負けないほどの立派な子実体を作るので、見つけたときにはアマチュアでも結構楽しめるでしょう。これらの菌は比較的身近に見られ、写真2と4は森林総合研究所本所(つくば)、写真1と3は同多摩森林科学園(八王子)に自生していたものです。

 

写真1:ニイニイゼミの幼虫に寄生するセミタケ
写真1:ニイニイゼミの幼虫に寄生するセミタケ

写真2:クモに寄生するクモタケ
写真2:クモに寄生するクモタケ

写真3:オサムシの幼虫や成虫に寄生するオサムシタケ
写真3:オサムシの幼虫や成虫に寄生するオサムシタケ

写真4:セミの幼虫に寄生するツクツクボウシタケ
写真4:セミの幼虫に寄生するツクツクボウシタケ

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