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更新日:2010年6月1日

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自然探訪2010年1月 森林土壌

森林土壌 

森林は我々に様々な恵みを与えてくれますが、その森の木々を支え育むのが地面の下の土壌です。基岩である岩石が土壌を形成する骨格となります。これを「土壌母材(どじょうぼざい)」あるいは、単に「母材」と呼びます。基岩は長い年月をかけて風化されていきます。風化されて細かく砂状となったところに植物が生えるようになると、枯れた根や落ち葉によって有機物が供給され土壌に生息する目に見えない微生物や土壌動物が生活できるようになります。それらの土壌の生き物たちが有機物を分解して新たに生み出す有機酸などの代謝産物などによって、岩石が風化された砂状のものを土壌に変えていくのです。これを土壌化作用と呼んでいます。これらの複雑なプロセスが長い年月かかって進行することによって、土壌は生成されるのです。

森林が成立できる限界(森林限界)に近い亜高山帯では、基岩の合間にしがみつくように生えているカラマツを見ることができます。その根もとには基岩の風化物からできた極めて未熟な土壌が見られます(写真1)。このような基岩の風化物は、土壌とも言えないようなものですが、やがて基岩の風化がさらに進み、土壌化が進んでいくと30cmほどもある土壌が生成されていきます(写真2)。日本の森林土壌は、褐色森林土群という土壌のグループであり、日本の森林面積の約半分を占めています。この中で最も典型なもので広く分布しているのが適潤性褐色森林土と呼ばれるものです(写真3)。土壌の厚さは地形条件などによっても変わるので一概に言えませんが、日本の多くの森林は、このようなタイプの土壌の上に成立しています。

また、日本は世界有数の火山国であることから、太古の火山噴火で降り注いだ火山灰が基岩の風化物に混じって土壌母材となっている土壌も多く見られます。有機物を多く含み黒色を呈する土壌で黒色土と呼ばれています(写真4)。

葉を茂らせ四季を通じて様々な花を咲かせる森林は歩いていて清々しく楽しいものですが、歩いているだけでは目にすることができない土壌は、何百年から何千年にも及ぶ風化と土壌化の過程によって出来上がってくるものなのです。



写真1基岩の風化物からできた未熟な土壌
写真1 : 基岩の風化物からできた未熟な土壌

写真2土壌生成が進み30cm程度の厚さになった土壌
写真2 : 土壌生成が進み30cm程度の厚さになった土壌
(灰色の部分が基岩の風化物)

写真3成熟した土壌(適潤性褐色森林土の例)
写真3 : 成熟した土壌(適潤性褐色森林土の例)

写真4火山灰を母材として生成された黒色土
写真4 : 火山灰を母材として生成された黒色土

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