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更新日:2010年6月1日

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自然探訪2010年5月 森林の鳥の繁殖

森林の鳥の繁殖

皐月5月、大部分の日本の森林では鳥たちが繁殖にいそしむ季節です。鳥たちはまず相手を探してつがいを作ります。そののち巣をつくって卵を産みます。卵は一定期間あたためないとヒナとして孵(かえ)りません。その間、基本的に卵は巣の中から動かせないので、鳥にとっては一生のうちでもっとも危険な時期にあると言えます。したがって、弱い小鳥たちが巣を作る場所としては、一定期間、絶対に敵に見つからないような安全なところを選んでいます。また、鳥は森林のどこにでも巣を作るわけでもなく、その種類、仲間によって作る環境がだいたい決まってきます。たとえば、都市公園などでもおなじみになってきているヒヨドリなどは、樹木の上の方、枝分かれして、その周りに葉が茂っているような場所を好んで作ります(写真1)。また、その卵の色は白地に赤色の斑紋がついています(写真2)。一方、地面に直接簡単な巣を作って卵を産むものもいます。写真3はヤマシギという鳥の巣ですが、周りの地面の色に非常に似た色をしています。親鳥の羽の色も地味で、巣の中で卵を抱いている時には、まさに周りの環境にすっかり同化して見えます。写真4は、卵を抱いているヤマシギの姿を撮影したものですが、どこに鳥がいるかわかりますか?正面近くの茶色の筋が見える部分はすべて親鳥の背中です。このように、鳥によって巣を作る場所、卵の色はさまざまです。卵の色については、果たしてどんな意味があるのかわからないものもあります。たとえば、写真5は、ガビチョウという鳥の巣と卵ですが、地上近くの低い藪などに隠れるようにして作っていますが、非常に目立つ、鮮明なルリ色をしたきれいな卵です。これはなにを表しているのでしょうか?近くに敵が近づくと非常に目立ちそうですが、我々にはわからない別の機能があり、そのように適応、進化してきたのかもしれません。ガビチョウは本来日本産の鳥ではなく、中国などから飼い鳥として輸入されたものが野外に放されて増えてしまったと言われているものです。もしかすると、本来の生息地では、卵の色がそれなりの意味を示していたのかも知れません。

森林の中で、鳥の巣を見つけることは至難のわざです。ただ、この時期、鳥たちが大きな危険を覚悟して次世代の繁栄のために、ひそやかに隠れた場所でこのような営みをしていることを考えて鳥の観察をすると、またひと味違った森林のおもしろさが感じられるのではないかと思います。

最後に、この時期、偶然鳥の巣を見つけた場合には、何度も同じ場所を訪れると、その巣に敵が接近しやすくなったり、鳥がいやがって巣を放棄する場合が多いので、鳥と目を合わさないように、すみやかに立ち去るのがいいでしょう。

 写真1
写真1

写真2
写真2

写真3
写真3

写真4
写真4

写真5
写真5

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